ピラティス

ピラティスのグループレッスンに使えるバーバルキューイングまとめ

三好 裕也

理学療法士・整体師・ピラティスインストラクター。藤沢市「Miyoshi整体サロン」代表。痛みやコリ、関節可動域改善が専門です^^ →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

こんにちは、みよし(SNS一覧はこちら)です。

ピラティスのグループレッスン指導をする時に使えるキューイングをまとめてみました。インストラクター初心者でクラスの指導力を上げていきたいと考えている場合は参考にしてみてください。

キューイングとは

キューイング(Queuing)とは、合図、きっかけ、手がかりという意味があり、ピラティスでは「指導者から発せられる情報伝達の行動」という意味で使われています。

キューイングの種類

キューイングの種類は、バーバルキューイング、ビジュアルキューイング、タクタイルキューイングに分かれます。

バーバルキューイングの種類は、外的キューイング、内的キューイング、比喩の3つに分かれます。

外的キューイング

外的キューイングは、

「壁のほうに引っ張られるように足を伸ばして」

「リンゴを描くように足を回しましょう」

など、環境やイメージを使ったキューイングです。動作のイメージをわかりやすく伝えることや、内的キューイングよりも外的キューイングの方が記憶に定着しやすいと論文で研究結果が報告されおり、正しい動作を長期記憶に定着させたい時に有効です。

内的キューイング(インナーキュー)

内的キューイングは、

「尾骨の先端を上に向けて」

「腰椎一つずつスライドさせるように」

のように、身体の内側に意識を向けさせるキューイングです。

身体の内側に意識を向け、細かい身体イメージを作っていきたい時に有効な方法です。身体の構造に関する理解が必要なので、一般の方に対しては簡単に解剖学の説明をしてから使用する必要があります。

比喩

比喩は、

「骨盤の上の水をおへその方へ流すように」

「スプーンでアイスをすくうようにして」

のように、具体的な例を上げて指示する方法です。

比喩を使うことによって、解剖学の理解や身体イメージが乏しい場合にも身体を正しく動かす感覚が入りやすくなります。

3つのキューイングを組み合わせて使い、クライアントにとって理解しやすい指導をすることが重要です。

キューイングの目的

キューイングの目的は、場面やインストラクターによって異なると思いますが、僕が今考えている目的は、相手に気づきを与えて自身の身体と向き合えるようにすること。それによって豊かさを作る心をの成長を促すこと。

これを達成するための一つの手段としてキューイングを使うというイメージを持っています。

キューイングの役割

「期待する動作、形が鮮明に描写されるのを助ける情報」を提供することが、キューイングの役割と言えます。

メッセージはその人が最も理解しやすい形かつ、最適なタイミングで伝えること。

正しい動作を引き出すために必要な情報を相手が理解しやすい形にうまく変換して伝えてあげることが重要です。

キューイングの質を高めるために、クライアントの立場を理解するためのコミュニケーションもとても大事ですね。

効果的なバーバルキューイング

ここでは効果的なバーバルキューイングを行う際に使えるキューイングを紹介します。

大枠は、分節的に細かく動かすためのキュー、エロンゲーションを作るキュー、安定を作るためのキュー、流れるように動作させるキュー、重心を意識させるキューあたりに分かれるかなと思います。

ロールダウン

ロールダウンに対するバーバルキューで使えるものをリストにします。

  • 頸椎一番を天井方向に引き上げてから前にスライドさせるように
  • 頸椎7番までスライドしたら一度止めて
  • 背骨一つ一つの間を引き離すように
  • 仙骨尾骨は最後まで床に下ろしたまま、ロールダウン
  • 尾骨仙骨を立て、その上に背骨を下から一つずつ積み上げるようにロールアップ
  • 背骨一つ一つを引き離すように空間を広げて背骨を長く

この辺りは背骨一つ一つを引き離し、エロンゲーションを作った上で繊細に背骨を動かす感覚を引き出すのに役立ちそうです。

また、頸椎と胸椎の移行部、胸椎と腰椎の移行部、腰椎と骨盤の移行部などを意識させるために固定する背骨と動かす背骨を細かく指示してあげるとより良いですね。

流れるように動かす中で、一度動きを止めてあげるとその場所をより意識しやすくなります。

ペルビックカール

ペルビックカールを指導する上で役に立つバーバルキューを紹介。

  • 尾骨の先端を前に引っ張るようにして天井方向に向けましょう
  • 腰椎5番から一つずつ順番に床から離していきましょう
  • おへそよりも恥骨が高い位置に来るように
  • 胸椎一番から順番に背骨を長くしながら落としていきましょう
  • 仙骨を遠くに着くように

ペルビックカールは、背骨から骨盤までのエロンゲーションや柔軟性、コントロール感覚を刺激するのにとても良いエクササイズですよね。

床があることで背骨の感覚を感じやすいので、床への刺激をうまく利用することができるとより理解しやすい指示を出すことができそうです。

チェストリフト

チェストリフトの指導に役たつバーバルキューを紹介します。

  • 頭を上げてまず頸椎7番までアップ
  • そこから首の力は使わず胸椎8番までアップ
  • 頸椎1番が天井に引っ張られて背骨のカーブを長く保ちましょう
  • 仙骨は床と平行を保って
  • 上で息を吸い、吐いて頭を遠くに背骨を長くするように下ろしましょう

チェストリフトは、腹部の安定を作った上での頸椎胸椎の動きを作るのに役立ちますね。日常生活では猫背姿勢で固まっている人が多いので、頸椎胸椎の伸展をしっかり意識して降りる感覚を刺激していきたいです。

スパイン・ツイスト・スーパイン

スパイン・ツイスト・スーパインを指導する上で役たつバーバルキューイングを紹介します。

スパイン・ツイスト・スーパインは、床に背骨がついた状態で背骨、骨盤を回旋する感覚に気づくことができます。背骨一つずつ丁寧に回旋する感覚に気づきを与えて日常生活でも安全に回旋動作が行えるように促していきたいですね。

  • 呼吸を吸い右の仙骨に重心を移動していきます
  • 左の肩が浮かないところまでツイストしていきましょう
  • 呼吸を吐きながら背骨の一番上から順番に捻りセンターへ戻します
  • 呼吸を吸い左へツイスト、仙骨から順番に背骨が回旋するように
  • 吐いて仙骨から一つずつ背骨を戻していきましょう

ゆっくりと床を感じながら背骨の回旋感覚を入れていきたいですね。特に腰椎は屈曲伸展動作には強いですが、回旋動作には弱いので腰痛予防、解消のためにも丁寧に学習していきたいですね。

レッグチェンジ

レッグリフトを指導する時に役たつバーバルキューの紹介です。

レッグリフトは、体幹、骨盤を安定させた上での股関節の動きを作るために重要なエクササイズ。正しく行えるようにすることで、腰部、骨盤での代償運動や股関節後面の柔軟性改善が期待でき、骨盤後傾姿勢の改善、首肩こりの改善にも繋がっていきます。

  • 右足をテーブルトップ
  • 仙骨を床と平行にしたまま、太ももを床と垂直に、スネは床と平行です
  • 左足は踵を浮かせます
  • 呼吸をすい、吐く息で両足をチェンジ
  • 吸って吐いてチェンジ。
  • 仙骨の中心に重心が乗ったまま行っていきます

骨盤を安定させた状態での股関節の動きをいかに引き出すか考えて行きたいですね。

チェストリフト・ウィズ・ローテーション

チェストリフト・ウィズ・ローテーションを指導する上で役たつバーバルキューの紹介です。

  • 背骨の延長線上につむじを持ってくるようにセット
  • 呼吸を吸い吐いて右にツイスト
  • 骨盤からつむじが引っ張られるようにしながら(エロンゲーションを作る)
  • 左の肩甲骨で床を押すようにツイストまたは右の肋骨を左の骨盤に近づけるようにツイスト→外腹斜筋の作用を促通!
  • みぞおちの高さはキープしたまま頑張りましょう!

チェストリフト・ウィズ・ローテーションは、胸椎屈曲を保った状態での回旋運動ですので、コアの安定を作るのと同時に、柔軟性やコントロール能力も求められます。フラットバックで胸椎伸展傾向が強い場合やパソコン作業などで胸椎周囲筋が固まっている場合の柔軟性改善にも有効なエクササイズであると考えます。

スパインストレッチ

スパインストレッチを指導する上で役たつバーバルキューを紹介します。

スパインストレッチは、下肢が固定された状態での脊柱の動きの学習に使えるエクササイズです。

坐骨から大腿骨を十分に遠ざけ保持することができるハムストリングスの柔軟性と腸腰筋の筋力が必要です。その上での脊柱のコントロールをする必要があるので難易度は比較的高めです。

  • 仙骨を床と垂直に立てた状態で膝をできる範囲で伸ばします
  • 骨盤から背骨がまっすぐ伸び、その上に頭蓋骨を乗せましょう
  • 呼吸を吸い、吐きながら頭蓋骨を天井に引き上げながら前にスライド
  • 次に頚椎一番も同じようにスライドさせ、背骨一つずつ前に倒していきましょう
  • 頚椎が動くときは胸椎は安定、胸椎が動くときは腰椎が安定しています
  • 動く背骨も大事ですが、固定する背骨も大事です
  • 腰椎5番まで倒れたら、最後に仙骨、尾骨を前に倒します
  • 下で息を吸い、吐きながら尾骨仙骨を垂直に立て、その上に腰椎から1つずつ背骨を乗せるようにしていきます

背骨の動きを学習するエクササイズはいくつもありますが、頭蓋骨、頸部からの屈曲動作の学習にはスパインストレッチ効果的です。日常生活で言うと、起き上がりや立ち上がり動作に繋がりやすいですね。

バーバルキューイングのコツは?

バーバルキューイングの役割は、動作をする事に集中してもらうこと、ストレスなく動けるようにわかりやすく動作を促すこと、楽しく動けるように促すことなどなど。

その役割や目的を達成するために、タイミング、リズム、強弱、言葉使いをうまいこと構成して表現すること。

キューイングはとても奥が深いですね。現時点での自分でまとめられるのはここまでかな。

キューイングについては学び続けながら実践していきますので、また学んだことをここでアウトプットしていきますね。

インストラクターとして、多くの人を楽しませられるように頑張っていきたいと思います!

それではまた^^

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