ピラティス

リフォーマーのストラップを用いたフットワークの動き方のコツ!

三好 裕也

日本の理学療法士・ピラティスインストラクター。藤沢市の整体ピラティスサロン「Miyoshi整体サロン」を運営。YouTube登録者8万人突破! →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

こんにちは、三好裕也です!

理学療法士であり、ピラティスインストラクターとして日々身体と向き合う中で、レッスンを受ける側になる時間は僕にとって非常に貴重な学びの機会です。先日もピラティスのプライベートレッスンを受けてきたのですが、そこで得た身体感覚や気づきがとても深かったので、今日はその体験を皆さんと共有したいと思います。

今回のレッスンでは特に、リフォーマーでのフットワークや腕の使い方、そして体幹との繋がりについて、改めて「骨から動く」ことの重要性を実感しました。僕自身が感じた具体的な感覚や、レッスン中に抱いた疑問、そしてそれに対する考察を交えながら、より質の高い動きを探求するヒントをお伝えできれば嬉しいです。

リフォーマー・フットワークで深化する「骨からの動き」

まずは、リフォーマーでストラップを使ったフットワーク。これはピラティスの代表的なエクササイズの一つですが、意識の仕方で感覚がガラリと変わる奥深い動きでもあります。

ポイント1:股関節の外旋は「大腿骨頭」を転がすように

ストラップをつけて股関節を外旋(外に開く動き)させるとき、つい足先や膝に意識が向きがちですよね。でも、それだと股関節の奥深くから動いている感覚が得られにくいことがあります。

今回のレッスンで意識したのは、**「大腿骨の付け根にある丸い骨頭(こっとう)から、キュッと雑巾を絞るように回旋させる」**感覚。まるで骨頭そのものを手のひらでコロコロと転がすようなイメージです。こうすることで、足先はリラックスしたまま、股関節の深部からしっかりと捻れている感覚が掴みやすくなりました。末端ではなく、動きの根元である関節そのものに意識を向けることが大切なんですね。

ポイント2:股関節の屈曲は「坐骨と脛」でコントロール

次に股関節を屈曲させる(脚を胴体の方へ引き寄せる)動き。ストラップの補助があるとはいえ、脚を上げることだけに意識が向くと、骨盤が後ろに傾いてしまい(後傾)、腰が丸まってしまうことがあります。これでは、本来使いたいインナーマッスルである腸腰筋(ちょうようきん)がうまく働かず、効果が半減してしまいます。

ここで重要になるのが、骨盤のニュートラルポジションです。 まず、左右の坐骨(座った時に椅子に当たる骨)をリフォーマーのキャリッジ(台)に優しく均等に下ろし、骨盤を安定させます。

その上で、脚を引き寄せるのですが、ここで僕がハッとしたのは**「脛(すね)を顔の方へ、手前に引いてくる」**という意識でした。

坐骨は下に安定させたまま、ただ足を上げるのではなく、「脛を優しく手前に引く」感覚で動かすと、不思議と骨盤の後傾が抑えられ、股関節の付け根、つまり腸腰筋がしっかりと使われている感覚が得られたのです。

【深掘りポイント①】なぜ「脛」を意識すると腸腰筋が働きやすいのか?

レッスン中、「なぜ脛を意識するとこんなに感覚が変わるんだろう?」と疑問に思いました。これはテコの原理が関係しているのかもしれません。股関節を支点として考えた時、意識する場所(力点)が変わることで、効率よく腸腰筋(作用点)に力が伝わるようになる、という可能性です。

また、足先や太ももの前側(大腿四頭筋)に力が入りやすいのを、「脛」という少し違う部位に意識を向けることで、過剰な力みが抜け、より深層にある腸腰筋への感覚が研ぎ澄まされる、という側面もあるかもしれません。この「脛を引く」感覚、腸腰筋への意識が難しいと感じる方は、ぜひ試してみてください。

ポイント3:足裏全体で「繋がり」を感じる

ストラップは足のアーチ部分にかけることが多いですが、意識がその一点に集中しすぎると、足裏全体の感覚が薄れてしまうことがあります。

大切なのは、足裏全体で、まるで地面を踏んでいるかのように、あるいは一枚の板を均等に捉えているかのような感覚を持つこと。この足裏からの安定した感覚が、脚全体、そして体幹(コア)へと繋がる土台となります。足裏でしっかりと「面」を捉えることで、腸腰筋への繋がりもより明確に感じられるようになりました。

アライメントが鍵!

フットワーク一つをとっても、坐骨の位置、骨盤の傾き、腰椎の左右のカーブ(側屈具合)、さらには胸椎の屈曲(頭を少し持ち上げ、ヘッドレストを使うなどして胸の後ろを丸める)といった**骨のアライメント(位置関係)**が少し変わるだけで、筋肉の働き方や感覚は驚くほど変化します。特に左右差がある場合、坐骨の位置や腰椎のカーブを整えることで、抜けやすかった側の腸腰筋がしっかり使えるようになることも。本当に、身体は繊細なバランスの上に成り立っているんですね。

上肢の動きも「根本」から~肩関節の意識~

股関節と同じように、腕を動かす際も「どこから動かし始めるか」という意識が非常に重要です。

例えば、腕を前から上に上げる(肩関節屈曲)動き。 「指先を遠くに伸ばしながら上げる」と意識すると、どうしても前腕や指先に力が入りやすく、腕全体がしなやかに使えている感覚が得られにくいことがあります。

一方で、「肩の付け根、上腕骨の骨頭(こっとう)から動かし始める」、あるいは**「骨頭をボールのように転がしながら上げる」**というイメージを持つとどうでしょう。

すると、意識が腕の根本に向かい、肩周りの筋肉(三角筋など)がしっかりと使われ、末端の余計な力みが抜けていきます。股関節と同じで、ここでも**「骨頭を転がす」**イメージが有効でした。

もし、腕を上げる時に肩甲骨からグイッと持ち上げるような癖があったり、逆に前腕や指先に力が入ってしまう場合は、意識が末端に行き過ぎているサインかもしれません。そんな時は、一度**「上腕骨の付け根(骨頭)」**に意識を集中し、そこから腕全体がついてくるような感覚で動かしてみてください。

さらに、上腕骨と前腕(尺骨・橈骨)のアライメント、つまり捻じれがないかどうかも大切です。例えば、腕を上げる際に上腕骨が適切に外旋(外捻じれ)し、それに伴って肘が自然な方向を向いているか。四つ這いの姿勢やリフォーマーのストラップを使った動きなど、様々な場面でこのアライメントを意識することで、よりスムーズで効率的な腕の使い方が学習できます。

コアが目覚める鍵は「足裏」にあり?

レッスンの中で、**「コア(腹筋群)の感覚が入りにくい人は、足裏からの感覚入力が弱いことが多い」**という話がありました。

足裏でしっかりと地面(あるいはリフォーマーのフットバーやキャリッジ)を踏む感覚、捉える感覚が弱いと、その力が体幹までうまく伝わらず、結果的にお腹の力が抜けやすくなってしまう、というのです。

これは非常に興味深い視点です。もし、腹筋のエクササイズでいまいち感覚が掴めないという方がいたら、まずは足裏の感覚を高めることから始めてみるのも良いかもしれません。

  • テニスボールなどで足裏を優しくマッサージする
  • タオルを足指でたぐり寄せる(タオルギャザー)
  • 裸足で様々な地面を歩いてみる

など、簡単なことからで構いません。足裏が目覚め、地面をしっかりと捉えられるようになると、体幹への力の伝わり方も変わり、コアの感覚が掴みやすくなる可能性があります。

チェアで見えた「前鋸筋と上腕三頭筋」の機能的な繋がり

レッスン後半、ピラティスチェアを使ったエクササイズでの気づきもシェアさせてください。 チェアの台にうつ伏せになり、胸の前にセットされたバーを上から下にプッシュする動き(肘を曲げた状態から伸ばしていく)がありました。

この時、**「肋骨と肘を互いに遠ざけるように意識する」**と、前鋸筋(ぜんきょきん:肩甲骨を安定させる筋肉)と上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん:二の腕の筋肉)が協力して働いている強い繋がりを感じることができました。

具体的には、

  • 肋骨は高く、背中の方へ引き上げる意識(肩甲骨が下に落ちないように前鋸筋で支える)
  • 肘(そして手首・前腕)は、その引き上げた肋骨から遠くへ伸ばしていく意識(上腕三頭筋で力強くプッシュ)

この二つの意識を同時に持つことで、体幹の安定と腕の力が連動する感覚が得られます。逆に、肘が肋骨に近づいてしまうと、この繋がりはフッと抜けてしまうのです。

【深掘りポイント②】この繋がりはどの筋膜ライン?

「この前鋸筋と上腕三頭筋の繋がりは、筋膜ラインでいうとどこに当たるんだろう?」と、また疑問が湧いてきました。

筋膜ラインの理論(例えばアナトミートレイン)を見てみると、前鋸筋は主に体の前面や側面から腕に繋がるライン(ディープ・フロント・アーム・ラインなど)に関与し、上腕三頭筋は体の後面から腕に繋がるライン(ディープ・バック・アーム・ライン)の主要な筋肉です。

つまり、一本の明確なラインとして直接的に繋がっているわけではないようです。

おそらくこれは、特定の筋膜ラインというよりも、肩甲骨の安定と動き(前鋸筋の役割)と、肩関節・肘関節の動き(上腕三頭筋の役割)が、このチェアのプッシュ動作において非常に密接に連携する必要があるため、機能的な繋がりとして強く感じられるのでしょう。複数の筋膜ラインが協調して働くことで生まれる、まさに「連動性」の感覚なのだと思います。ここでも、筋肉単体ではなく、身体全体のシステムとして捉える視点が重要ですね。

レッスンを通して見えた「評価」のポイントと今後の展望

今回のレッスンを通して、改めて**「骨のアライメント(位置関係)」**がいかに重要かを痛感しました。

クライアントの動きを見る時、あるいは自身の練習において、以下のポイントを指標として意識することが、質の高い動きを引き出す鍵になりそうです。

  • 坐骨: 左右均等か?安定しているか?
  • 大腿骨頭・上腕骨頭: 動きの起点が骨頭(根本)からになっているか?末端から動いていないか?
  • 距骨(きょこつ:足首の骨): 内側や外側に倒れすぎていないか?背屈・底屈時の捻じれ(回旋)に左右差はないか?
  • 立方骨(りっぽうこつ:足の外側にある骨): 落ちたり潰れたりしていないか?アーチを保てているか?
  • 肋骨: ポジションは適切か?呼吸との連動は?
  • 動きの初動: どこから動きが始まっているか?(指先、足先などの末端か、骨頭などの中枢か?)

ほんの少し骨の位置がズレるだけで、筋肉の働き方は大きく変わってしまいます。アライメントを丁寧に整え、動きの始まり(初動)を中枢から導くように意識を変えるだけで、身体はもっと効率的に、そして快適に動くことができる。その可能性を、今回のレッスンではっきりと体感できました。

この深い学びを、僕自身のピラティスや日々のケアはもちろん、Miyoshi整体サロンでの施術やレッスンにいらっしゃるクライアントの皆様にもしっかりと還元していきたいと思っています。骨の感覚、身体の繋がり… 一緒に探求していくプロセスは、本当に面白いものです!

皆さんも、ご自身の身体の声に耳を澄ませ、骨からの動きを意識してみてはいかがでしょうか?きっと新しい発見があるはずです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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三好 裕也

日本の理学療法士・ピラティスインストラクター。藤沢市の整体ピラティスサロン「Miyoshi整体サロン」を運営。YouTube登録者8万人突破! →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

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