防御性収縮に対する評価、治療アプローチ!膝関節屈曲制限を改善する方法を紹介


こんにちは、三好(@yuyampt)です。

 

僕は現在総合病院で働いていますが、防御性収縮で関節可動域制限が生じている人を数多く経験しました。

 

防御性収縮が生じていて訓練が進まず悩んでいる方は結構多いんじゃないでしょうか?

 

この記事をおすすめしたい人
  • 防御性収縮が原因で訓練をうまく進める事ができなくて悩んでいる人
  • 防御性収縮についてよくわからない人
  • 防御性収縮の改善方法を知りたい人
  • 防御性収縮がなぜ起こるのか知りたい人

 

僕も以前は防御性収縮がある方に対して訓練が思うように進められず悩んでいる事がありました。

 

文献読んだり、経験を積んだことによって防御性収縮に対するアプローチ方法を学びましたので、記事にしました。同じように防御性収縮で悩んでいる方の解決策に繋がれば幸いです。

 

 

防御性収縮の概要

 

 

はじめに防御性収縮についてお伝えしていきます。

 

防御性収縮とは

 

防御性収縮は、主に痛みを回避するために筋収縮を起こす防御反応です。筋の伸張性低下がみられている時に、拮抗筋やその周囲筋が伸張痛を防御するように収縮する事から防御性収縮と呼ばれています。

 

不安感や痛みに対する防御的反応という捉え方で良いと思います。

 

例えばTKA術後の患者さんの場合、膝屈曲すると腫れた創部周囲が伸張される事で痛みが生じます。その状況で無理やり膝を曲げようとすると、患者さんは「それ以上曲げないで!」っと膝を伸ばす方向に力を入れます。

 

この状況が痛みに対してそれを回避するように防御性収縮が生じているということになります。

 

似ている用語 筋ガーディングとは

 

似ているものに筋ガーディングという言葉があります。

 

筋ガーディングも疼痛に対する反応ですが、痛みに対して持続的に筋肉を収縮させることによって筋肉を固めている状態です。

 

痛みの原因は近隣の組織や深部の組織、関連痛を引き起こす部位から起こる。関連痛でない場合には、収縮筋は傷害のある部位を機能的に動かないように保護する役目を担っている。

痛 み と マ ニ ュ ア ル セ ラ ピ ーI ―軟部組織に対する治療― 黒澤 和夫より引用

 

痛みが生じないように保護をする役目が筋ガーディングにはあるということです。

 

防御性収縮も同様に身体を侵害刺激から保護する役割を果たしているとも捉える事ができます。

 

防御性収縮の原因

 

 

MIYOSHI

防御性収縮の原因は様々です。

  • 急性期の炎症によるもの
  • 不安、恐怖心
  • 筋性の問題
  • 関節周囲組織の問題
  • 感覚受容器の問題

 

防御性収縮がなんで生じているのか?を考える事で「治療アプローチで何をすればいいのか?」が見えてきます。

 

防御性収縮の主な原因は疼痛です。その疼痛を引き起こしている原因はケースによって様々ですが、よくある防御性収縮の原因となっている例を紹介します。今担当しているケースに当てはまるようでしたらアプローチ方法も下記で解説していますので参考にしてみてください。

 

順にみていきます。

 

急性期の炎症

 

OPE後や受傷後すぐは炎症が起きている状態ですので、疼痛が生じやすいです。

 

この時期は防御性収縮を避ける事は難しいため、訓練は防御性収縮が生じない範囲で行う事が大事です。「早く訓練を進めなければ!」と患者さんをよくしたい気持ちから焦るのもわかりますが、この時期は痛みのない範囲で訓練を進めてあげるのが一番患者さんのためになります。焦らず、炎症期を過ぎたら訓練を積極的に行ってあげれば大丈夫です。

 

この時期に無理して訓練を行ってしまうと、炎症が落ち着いた後も防御性収縮を残存させてしまう原因となりますので注意しましょう!

 

不安、恐怖心

 

痛みだけでなく、不安や恐怖心が原因となって防御性収縮が生じているケースも多いです。

 

急性の炎症期を脱して強い痛みは生じないはずなのに、運動に対して抵抗するように防御性収縮を生じさせてる人っていますよね。

 

急性期に痛みを経験した方はその痛みを無意識に記憶している状態ですので、以前痛みが生じていた動作をしようとすると無意識に抵抗しようとします。潜在的に痛みを記憶してしまっている状態となっています。

 

この場合、不安、恐怖心を取り除いてあげる事が大事です。

 

下記から組織別にみていきます。

 

筋性の問題

 

筋肉が原因で防御性収縮が生じやすくなっている事は頻繁にみられます。

 

筋の短縮によるもの

 

筋肉が短縮している場合、筋肉が伸張される時に伸張痛が生じます。さらに伸張された時の刺激を不快に感じると防御性収縮が生じます。この場合は最終域で筋収縮が生じているケースが多いです。

 

例えば、膝関節を屈曲する時、大腿四頭筋の短縮があると最終域で伸張痛が生じます。そうすると、それ以上膝が屈曲しないように膝を伸展するように大腿四頭筋の防御性収縮が生じます。

 

ROM制限を評価する時と同様に最終域で筋性の制限があるか確認してみてください。

 

筋の滑走不全によるもの

 

滑走不全があっても防御性収縮を生じさせることがあります。

 

この場合の筋の滑走不全とは、筋繊維自体が硬くなっていたり、筋肉と筋肉が癒着していることにより筋肉がうまく伸縮できなくなっている状態と捉えています。

 

この場合、最終域でなくても関節運動時に疼痛が生じて防御性収縮が生じる事があります。滑走不全を評価するには、筋間の硬さや筋繊維自体に硬さがないか見ていくようにします。

 

筋以外の関節周囲組織の硬さ

 

筋線維以外にも関節周囲の組織に硬さがあると関節運動をしたときに痛みや不快刺激が生じます。結合組織に硬さがあると、循環不全から疼痛閾値の低下が生じます。

 

筋以外に関節運動を行った時に関節運動を制限する組織がないか確認していきましょう。確認するには触診が大事で、左右差を比べた時に左右の組織の硬さの違いを判断できるようにしておく事が必要になります。これには経験がある程度必要で、何度も触診するクセをつけて指先で評価できるように経験を積んでいきましょう。

 

関節周囲の組織で硬さ、痛みが生じやすい部位

 

硬さ、痛みが出やすい部位をリストアップしておきますので、関節周囲の組織を触診してチェックしてみてください。

 

硬さ、痛みが出やすい組織
  • 脂肪体
  • 筋肉の起始部、停止部
  • 筋腱移行部
  • 筋間の癒着、滑走不全
  • 皮膚の硬さ
  • 靭帯の硬さ
  • 各組織の癒着

 

Twitterで臨床で見ておくと良いポイントを呟いたりしてます。

 

 

感覚受容器の問題

 

関節に存在する感覚受容器の機能不全も考えられます。この状況では感覚のフィードバックが正常に行われていないため関節がどの程度動いているのか認識できていません。

 

この場合、感覚受容器の感受性の改善、関節運動の状況を患者さんに認知してもらうように正しいフィードバックをかけてあげることが必要になります。

 

防御性収縮と膝関節屈曲可動域制限

 

 

臨床で多い膝関節の防御性収縮を例にして考えていきます。

 

膝関節の評価ポイント

 

膝関節周囲の組織で防御性収縮に関与している可能性があるポイントを紹介しておきます。可動域制限にも関与している事が多いので、膝関節を見るときは下記の組織を触診できるようにしておくと良いです。

 

膝関節のチェックポイント
  • 大腿直筋の短縮
  • 大腿四頭筋の短縮
  • 大腿四頭筋の滑走性低下
  • 大腿四頭筋の過緊張
  • 大腿筋膜張筋の短縮、過緊張
  • 縫工筋の短縮、過緊張
  • 薄筋の短縮、過緊張
  • 脂肪体の硬さ
  • 膝蓋靱帯の硬さ
  • OPE後は創部周囲の腫脹
  • 疼痛に対する恐怖、不安感

 

上記にあげたポイントを改善してあげる事で防御性収縮の改善に繋がることが多いです。

 

膝関節についての評価、治療の知識、スキルを高めて臨床に活かしたい人はこちらの本を読んで実践すると臨床力が上がりますよ↓

 

 僕はこの本読んで、日々膝関節の評価、治療を実践しています。

 

防御性収縮による膝関節屈曲制限の評価方法

 

防御性収縮によって膝関節屈曲制限が生じているケースは結構みられますので、このケースを例に評価手順をみていきます。

 

防御性収縮の評価の手順

 

評価手順
  1. 自動運動をしてもらい、患者さん自身で行える運動範囲を確認。
  2. 最終域での脂肪体、筋、靭帯等の組織の硬さを触診で確認。
  3. 最終域で筋、脂肪体、靭帯等の硬さに変化がないことを確認。
  4. 他動で膝をさらに曲げてみる。
  5. 防御性収縮の場合、蹴り返すような抵抗を感じる。
  6. 膝を屈曲する際、拮抗筋を触診して、筋の収縮があるか確認。
  7. 他動で屈曲を入れるときに、患者さんに膝を曲げるように力を入れてと指示する。
  8. 可動範囲が広がるようであれば防御性収縮の可能性が高い。

 

防御性収縮でROM制限が生じているかどうかは、自動と他動で制限に差が生じるかで判断するとわかりやすいです。

 

防御性収縮に対する治療アプローチ方法

 

 

 

MIYOSHI

アプローチ方法はこちら

  • 関節周囲の硬い組織をリリース
  • 自動から他動へ
  • 声かけの方法
  • 視覚のフィードバック
  • 筋緊張を軽減させる方法

 

順にみていきます。

 

防御性収縮に対するアプローチを動画で解説

 

簡単に防御性収縮対するアプローチについて解説します。話が下手くそですみません笑

 

 

関節周囲の硬い組織をリリース

 

硬い組織は疼痛閾値が低下しており、防御性収縮の原因となります。

 

硬い部位を触診でチェックして、リリースしていきましょう。はじめは触診でわかりにくいこともあるかもしれませんが、毎回触診するようにしていくとわかるようになってきます。

 

関節周囲の組織を左右差を比べるようにチェックするクセをつけていくようにしてみてください。

 

硬さが評価できたら、リリースをして緩めてあげましょう。緩めた後に痛みが軽減し防御性収縮が軽減するか確認してみてください。

 

筋膜リリースについて学んで臨床で実践していきたい人はこちらの2冊がおすすめです。まずは筋膜の概要を捉えてから、リリースの方法を学ぶと良いですよ↓

 

 

 

 

 

自動運動から他動運動へ

 

自動から他動への流れでアプローチしてあげましょう。疼痛のない範囲で運動をしてもらうことが大事です。

 

いきなり他動運動を行ってしまうと、防御性収縮を引き起こしやすくなってしまいます。誰でも痛みのある部分を人に触られたり、動かされたりするのはこわいと思います。

 

案外、痛みがあるのに他動で動かそうと頑張ってしまう人が多いです。痛みがある、不安があるときは無理せず、防御性収縮が生じない範囲で少しずつ動かすように促してあげれば大丈夫です。

 

声かけの方法

 

声かけの方法、これ結構大事です。痛みがないのに防御性収縮が生じている方に対してとても有効です。

 

大丈夫ですか?痛くないですか?こうすると痛いですか?といったような痛みを確認する声かけをしてしまうと患者さんの注意は痛い方向に向いてしまいます。

 

患者さんの注意を痛くない、大丈夫だといった方向に向けてあげる声かけをしたげることが大事です。

 

患部に意識が向かないようにしながらアプローチしてあげるだけで改善したりするケースも多いです。

 

視覚のフィードバックの利用

 

視覚のフィードバックがとても効果的です。

 

慢性的に防御性収縮を生じている方は、自分の膝がどの程度曲がっているのかを認知できていない方が多いです。

 

鏡を利用して、自分の膝を見てもらいながら運動を行ってもらうことや、自分で実際に膝を見てもらいながら膝を曲げてもらってみるのが効果的です。

 

患者さんはこんなに曲げても大丈夫なんだ!って驚かれるかもしれません。患者さんは自分の膝は全然曲がらないもんだと思い込んでいるケースが多いです。

 

Ia抑制、Ib抑制を利用し筋の過緊張を軽減する

 

防御性収縮が生じやすい方は慢性的に筋緊張が高い状態になっていることが多いです。筋の過緊張を軽減してあげましょう。

 

不安や恐怖心が続いていたことにより、大腿四頭筋やハムストリングスが過緊張状態になっていることも多いです。等尺性収縮でIb抑制を利用して緊張を落としてあげるのも良いです。筋肉に力を入れる感覚、力を抜く感覚を思い出させてあげましょう。

 

力の抜き方がわからない人は力の入れ方がわからなくなっているケースが多いです。まずは力を入れる感覚を思い出させてあげましょう。それから力を抜くように促してあげると良いです。

 

力を入れる→力を抜くように促してあげてください。

 

大腿四頭筋の過緊張で膝が屈曲できないのであれば、Ib抑制やリリースで緊張を落としてあげた後に伏臥位での疼痛範囲内でハムストリングスの収縮を入れてあげる運動をしてもらい、Ia抑制によって大腿四頭筋の緊張を落としていってあげるような流れでアプローチしてみるのも良いです。

 

防御性収縮による膝屈曲可動域制限治療アプローチ まとめ

 

長くなってすいません。最後にまとめます。

 

MIYOSHI

防御性収縮のアプローチをまとめると

  • 炎症期は無理せず疼痛のない範囲で訓練を進めればOK
  • 関節周囲の組織の硬さをチェックして硬い部位はリリースしてあげる
  • いきなり他動は避け、自動または自動介助運動から
  • 患者さんの認知、思い込みを変えるポジティブな声かけ
  • 視覚のフィードバックの利用
  • Ib抑制、Ia抑制を利用し筋緊張を軽減する
  • 力の入れ方をまず教えてあげるように

 

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