こんにちは、理学療法士の三好です。今回は臨床でよく聞く訴えである、膝のこわばり、歩き始めの違和感、つっぱり感といった問題を解決する方法を紹介します!同じような症状のある患者さんを担当されている方はぜひ臨床で活かしてみてください!
膝のこわばりの原因
膝周囲の結合組織の繊維化が主な原因
結合組織のコラーゲンが不動により増生し、膝周囲が硬くなることによってこわばりが生じます。
【コラーゲン】
靭帯、皮膚、筋、骨、軟骨等を構成するタンパク質の1つ。
筋膜の主成分もコラーゲン。
1ヶ月程度の不動期間があると、コラーゲンの分子間架橋を生成する可能性が高くなる。
不動により分子間架橋が生成されたコラーゲンが増加し、筋膜の伸張性低下につながり、可動域制限となる。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2017年12月1日
膝周囲の脂肪組織の繊維化
膝OAの方に特に多いんですが、膝周囲の脂肪組織が硬くなっていることにより循環不全が起き、痛みやこわばりを感じやすい状態になっています。
長時間座っていた後や、寝て起きたばかりの時は脂肪組織が硬くなっていることによりこわばりやつっぱり感を感じます。
循環不全により疼痛閾値が低下しているので、少しの刺激で痛みを感じやすい状態でもあります。
膝周囲の皮膚の繊維化
膝周囲の皮膚の繊維化により硬くなっていることでこわばりや、つっぱり感を感じている事も考えられます。
膝に痛みがあったり、手術後で動かす事が減ると膝周囲の皮膚が硬くなります。皮膚自体の硬さもそうですし、皮膚と皮下組織の滑走不全によっても皮膚が動きにくくなるため、こわばりや、つっぱり感に繋がります。
皮膚や、皮下組織の硬さ、滑走不全を改善する事が大事です。
皮下組織の滑走不全
皮下組織の滑走不全も膝周囲の動きが悪くなる一つの要因となります。
【皮膚と筋収縮】
浅筋膜部分の滑走性を出してあげる事が大事!
筋収縮、弛緩をする際は浅筋膜より浅層部に対して深層部に位置する筋の間に滑走が生じる。
滑走不全があると皮膚と筋が適切な方向に動けなくなるので筋収縮がしにくくなる。
これが皮膚を誘導する事で筋収縮がしやすくなる理由の1つ
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月7日
膝周囲の筋・筋膜の繊維化
膝周囲筋の硬さによっても膝のこわばり、つっぱり感に繋がります。
特に膝OAの方の場合、外側広筋や腸脛靱帯に硬さが生じていてつっぱり感を訴える事が多いです。このあたりに硬さや短縮があると、膝の屈伸運動時につっぱり感、伸張痛、短縮痛が生じます。
筋繊維自体が短縮している事もありますし、筋膜の繊維化による場合もあります。どちらも併発している事も多いです。ストレッチやリリースをする事で改善していきます。
膝のこわばりの治療方法
温熱療法
ホットパック
ホットパックで膝周囲を温めます。
【ホットパックの効果】
脂肪や皮膚の柔軟性改善には効果的だが筋の柔軟性改善には要検討
皮下2cmの深部温度の上昇は1.5度程度にすぎない
加えられた熱エネルギーは皮膚の血液循環によって身体各部に拡散されるので深部へ熱を伝えるのは困難
脂肪組織の圧さ等を考慮して他の温熱療法と使い分けよう
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月6日
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- 時間 15分
- 対象 脂肪組織、皮膚、浅層の筋、筋膜
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結合組織のリリース
筋膜リリース
【筋膜リリース】
皮膚のたるみがなくなる程度のソフトタッチでリリースを開始。
90-120秒間(長くて5分)圧を維持すると膠原要素がリリースされて組織が柔らかくなる。
弾性繊維のエラスチンが組織に本来の形態と柔軟性を取り戻させる。
組織が柔軟になるのを感じるまでリリースしよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
脂肪組織のリリース
動画で解説
パテラ周囲の脂肪組織をリリースしよう。しっかりとほぐれるまでリリースしていく事。
左右差もチェックして、健側と同様に柔軟になるように。パテラの動きも合わせてチェックして、可動性が悪ければモビライゼーションも行っていく。
皮膚のリリース
動画で解説
皮膚を軽くつまむようにして、皮下組織との癒着を剥がしていきます。
硬くなっている部分は、ほかの部位よりも動きが乏しいです。左右差も比べてみましょう。関節運動をした時に動きが乏しい箇所を探してみてください。
皮膚誘導の原則
【皮膚性関節可動域制限の改善】
関節運動時に骨同士が近づく時に皺が深くなり過ぎていて制限となる場合は、皺を伸ばすように。
骨同士が離れる時に皮膚の伸張性が低下していて制限となる場合は皺を作るように。
浅筋膜より浅層部の皮膚の中間位に問題がある場合は皮膚全体を誘導するように。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月8日
関節運動
結合組織の柔軟性を改善したら、関節運動を行っていきます。膝を実際に動かした時に組織が柔軟に滑走するようにするためです。
関節運動を行う際に、組織を他動的に動かしながら運動を行うとより効果的です。
まとめ
- 膝のこわばりの主な原因は結合組織の繊維化、循環不全
- 循環不全の改善、結合組織の柔軟性改善が鍵となる
- 結合組織の柔軟性を改善したら、関節運動を行い組織を動かしていく
お疲れ様でした!ぜひ、臨床に活かしてみてください!