膝関節伸展制限の原因と具体的な評価、治療方法


こんにちは、三好(@yuyampt)です。

 

僕は総合病院で理学療法士をしていますが、これまで膝関節の伸展制限のある方を多く担当してきました。はじめは膝関節伸展制限の改善に悩んでいましたが、学習と経験を積んでいくうちに伸展制限の改善ができるようになってきました。

 

おそらく、この記事を読んで頂いている方は膝関節伸展制限が臨床で改善できなくて悩んでいる方が大半だと思いますので、膝関節伸展制限の改善に必要な情報を僕なりにわかりやすく解説していきたいと思います!

 

膝の伸展制限の原因ってハムストリングスや腓腹筋の短縮や、後方の関節包の問題が多いと思いますが、それだけでは改善できないケースも多いです。

 

先日に下記Tweetをしました。

 

 

膝伸展制限を改善するには、このように筋だけでなく皮膚やそれ以外の組織、筋も細かく評価していくことが必要になります。

 

この記事をおすすめしたい人
  • 膝関節伸展制限の原因はハムストリングス、腓腹筋以外どこなのか知りたい
  • 伸展制限に関わる組織を知ってその改善方法を知りたい
  • 膝OAの方の膝伸展制限を改善してあげたい
  • 膝伸展制限を改善したいけど、アプローチの仕方がわからない
  • 深く評価、治療できるようになりたい

 

こういった悩みがある方におすすめです。

 

もしあなたが担当している患者さんで膝の伸展制限がなかなか改善できていない方がいたら、今回お伝えする事を知る事で改善できるようになる可能性はあります!ネット上なので伝わりにくい部分もありますが、わかりやすく伝わるように最大限に努力して解説していきます!

 

膝関節伸展制限の原因

 

 

MIYOSHI

はじめに知っておきたい膝関節伸展制限の原因を解説していきます!

  • 伸展制限の原因となる組織の確認
  • 伸展制限の責任病巣の割合
  • 筋性の制限
  • 筋以外の組織による制限
  • 組織間の問題

 

順にみていきます。

 

膝関節伸展制限の原因となる組織

 

まずは、膝関節伸展制限の原因となる組織をリストアップしますので、自分が普段評価できているか確認してみてください。

 

膝関節伸展制限の原因となる組織
  • 筋性要素
  • 大腿二頭筋の長頭、短頭
  • 半腱様筋、半膜様筋
  • 腓腹筋
  • ヒラメ筋
  • 膝窩筋
  • 筋以外
  • 後方関節包
  • 膝蓋下脂肪体
  • 膝蓋上嚢
  • 膝蓋骨周囲の脂肪組織
  • 皮膚

 

上記の組織は特に膝関節伸展制限に関わっています。この組織を適切に評価、治療できれば膝関節伸展制限は改善できます。

 

原因となる組織がわかったところで、

 

以下から各組織にどういった問題点が起きていると膝関節伸展制限の原因となるのかとその評価方法を解説していきます。ここができるようになればあとは治療をしていくだけです。

 

 

膝関節伸展制限の原因となる組織の問題点

 

膝関節伸展制限に関わる組織にどのような問題が生じると膝関節伸展制限の原因となるのかを解説していきます。ここからが大事です!

 

MIYOSHI
  • 筋の短縮、筋膜の硬さ
  • 後方関節包の硬さ
  • 軟部組織の硬さ

主には組織の硬さ、線維化が起きている事で伸展制限の原因となっています。下記から評価方法も交えて解説していきます。

 

ハムストリングスの短縮、筋膜の硬さ

 

 

 

やっぱり割合として大きいのが大腿二頭筋や半腱様筋、半膜様筋の短縮、筋膜の問題です。

 

ハムストリングスの問題が原因となるのは知っていると思いますが、本当にハムストリングスの問題が原因で膝関節伸展制限が生じているか?を見極めることができるようにする事が大事です。

 

さらに深めると、ハムストリングスの中でも大腿二頭筋の長頭なのか短頭なのか、半腱様筋なのか、半膜様筋なのか、半腱様筋の起始部なのか、停止部なのかといった具合でどこが問題となっているのかを見極める力が必要になります。評価の方法は下記で解説していきます。

 

腓腹筋の短縮、筋膜の硬さ

 

 

腓腹筋も膝関節伸展制限に関わる頻度が多いです。ハムストリングスや腓腹筋は大きい筋肉ですのでその分可動域制限に関わる割合も大きくなります。

 

膝OAの歩行の特徴と腓腹筋の関係

 

ちょっと脱線しますがここで伝えておきたいので!

 

腓腹筋の短縮や筋膜の硬さによって膝関節伸展制限が生じますが、その根本の原因となる1つの例がこちらです。

 

 

これが膝OAの方に膝関節伸展制限が生じやすい理由の1つになります。Twitterではちょくちょく臨床情報を発信しています。

 

膝窩筋の短縮、筋膜の硬さ

 

 

ここは結構見逃しがちなポイントですがかなり大事です!

 

ハムストリングスや腓腹筋は大きい筋肉なので評価、治療がしやすいポイントだと思いますが、この膝窩筋が原因で伸展制限が残っている方も多いです。

 

膝窩筋は腓腹筋より深層に位置しているので触診しにくいですが、走行に沿って触診して圧痛や硬さの有無を確認していきましょう。直接触るのは難しいですが、腓腹筋の上からでも硬さを確認することはできます。評価方法は下記で解説していきます。

 

膝窩筋周囲の組織との癒着も原因となることがあります。臨床で改善することができたポイントを動画で紹介してみました↑

 

大腿二頭筋短頭の短縮、筋膜の硬さ

 

 

あえて、ハムストリングスと一緒にしなかったのには理由がありまして、大腿二頭筋の短頭をチェックしておくのは実はめちゃ大事なんです!

 

結構ここは見逃しがちなポイントで、他の2関節筋や膝窩筋に問題がなくても膝関節伸展制限が残存している場合、大腿二頭筋の短頭の短縮、硬さが残存している場合があったりします。走行に沿って触診すれば硬さは確認できますのでチェックを忘れず。

 

筋性の制限は以上です。下記から他の組織の問題を解説します。

 

後方関節包の硬さ

 

関節包は繊維膜、滑膜でできています。コラーゲン繊維、エラスチン繊維から構成されるので繊維化が進むと関節包に硬さが生じて制限因子となります。

 

長期間膝関節の疼痛を我慢していたり、固定期間があったりすると、後方関節包が硬くなって制限となっている事があります。

 

膝蓋下脂肪体の硬さ

 

標準理学療法学、作業療法学 解剖学 第2版より引用

 

結構、見落としがちなのが、前方の組織です!

 

膝の伸展制限だから後方の組織に原因があると考えがちだと思いますが、前方の組織が原因で伸展制限が生じていることがあります。

 

膝を完全に伸展できるようにするためには、脛骨が大腿骨と水平にならないといけません。大腿骨と脛骨が水平になるためにはパテラがしっかりと大腿骨側に滑ることが必要になります。脛骨がしっかりと動くためにはパテラの滑りを改善することと、脛骨の前にある組織が柔らかい状態であることが必要になってきます。

 

そのために膝蓋下脂肪体の硬さを改善する必要があります。膝蓋下脂肪体が硬くなっている事によりパテラが滑りにくくなっているケースがありますので、ここの硬さのチェックも忘れず。

 

膝蓋靱帯の硬さ

 

膝蓋靱帯が硬くなっていることで脛骨の動きが制限されます。膝蓋下脂肪体と存在する位置が近いので同じように硬くなっていることが多いです。

 

ここが硬くなると、脛骨の伸展だけでなく、回旋の動きも制限されます。

 

膝蓋上嚢の硬さ

 

標準理学療法学、作業療法学 解剖学 第2版より引用

 

膝蓋上嚢は、パテラの上に存在します。ここも膝関節屈曲制限に関わりやすい組織ですが、膝関節伸展制限にも関わり、硬くなっているとパテラが上方に滑りにくくなります。大腿四頭筋の滑走性の低下にも繋がりますので、膝を伸展を行いにくくする原因となります。

 

内側、外側膝蓋支帯

 

パテラの内側、外側に存在する靱帯になります。この靱帯は内側広筋、外側広筋と連結します。

 

パテラの周囲に位置するのでここが硬くなっていることでパテラの可動域が制限されます。そうすると、脛骨の動きも制限され、膝の伸展制限に繋がります。

 

各筋、筋間、周囲組織との癒着、滑走性低下

 

筋肉の短縮や、組織の繊維化に対してはアプローチはしているけど、組織間の癒着に対してアプローチしていない方は多いんじゃないでしょうか?

 

短縮に対してストレッチをしているのに可動域が改善しない方は組織間の癒着を起こしている可能性があります。癒着を改善してあげないと組織が自由に動くことができないので可動域が改善しません。この視点を持っているか持っていないかで可動域制限に対する見方がかなり変わります。

 

 

皮膚、浅筋膜の線維化

 

 

皮膚ってめちゃ大事です。関節可動域制限に関わる割合も実は大きいんです。

 

筋肉に対するアプローチの前に皮膚が硬くなっている場合は表層の皮膚や浅筋膜を柔らかくしてあげると良いです。後方の皮膚が突っ張っていて膝が伸びきらない例も多いです。

 

皮膚に関しては学習を深めておくことをおすすめします。

 

皮膚をこれから学ぶんだったらこの本がおすすめです。皮膚運動の原則、理論、皮膚運動の評価、治療、関節可動域制限の改善につながらアプローチ方法を解説してくれています。

 

膝伸展制限の制限因子を動画で確認

 

話下手くそですけど、簡単に動画で解説しています。

 

 

 

膝伸展制限の責任病巣の割合

 

 

どの程度組織が制限に関与しているのかを把握しておくのも大事です。

 

文献より

 

 

 

膝関節伸展制限の評価

 

 

ここからが更に大事!どこが原因となっているか見極めるスキルです!

上記で解説した膝関節の伸展制限に関わる組織の問題点の具体的な評価方法を解説していきます。どこが制限因子となっているのかを見極めるポイントになります。これができれば膝関節伸展制限を改善できるようになります!

 

膝関節伸展筋性制限の鑑別方法

 

MIYOSHI

ハムストリングスなのか、腓腹筋なのか、それ以外の筋なのかを見分ける方法を紹介します。

 

ハムストリングスが制限因子となる場合

 

背臥位で膝関節最終伸展の状態で、股関節を屈曲していきます。ハムストリングスの短縮が原因で伸展制限が起きているようであれば、股関節の屈曲角度を増すほど、膝関節が屈曲していきます。

 

腓腹筋が制限因子となる場合

 

膝関節最終伸展域で、足関節の背屈をさせます。背屈角度を増やす事で膝が屈曲方向に動くようであれば腓腹筋が膝関節の伸展制限に関与している可能性を考えます。

 

ハムストリングス、腓腹筋が関与していない場合

 

2関節筋のテストをして問題がなければ、膝窩筋、大腿二頭筋短頭による制限、それ以外の軟部組織による影響を考えます。大腿二頭筋や膝窩筋の硬さ、その他の軟部組織の硬さを評価していきましょう。

 

膝関節伸展筋性制限をより深く評価する方法

 

1番大事なのは、触診です。

 

触診ができるようになれば、筋性の制限が具体的に評価できるようになります。筋性の制限因子を具体的にどのように評価しているか手順を伝えます。

 

筋性の制限因子の評価手順
  1. まずは筋を1つ1つ触診する
  2. 硬さの程度を把握する
  3. 硬さの左右差を確認する←左右差を確認するのが1番わかりやすい
  4. 筋1つ1つ触診しながら関節最終域まで動かす
  5. 筋の緊張が高まるか確認する
  6. 緊張が高まるようであればそこが制限
  7. 高まらないようであれば他に制限があると判断

 

具体的にその組織が可動域制限に関わっているかどうかは触診で最終的には判断します。だから触診がものすごく大事です!

 

触診技術を高めるならヒューマン・アナトミー・アトラスというアプリが超おすすめです!僕はこれで触診技術を劇的に高めました。触診技術を磨く秘訣はこれ見ながら毎日練習するだけです。

 

 

膝関節伸展制限に関わる筋の触診手順を動画で解説

 

膝関節伸展制限に関わる筋の触診の手順を簡単に解説します。

 

 

それ以外の組織の評価

 

触診で確認
  • 伏臥位で膝窩部の硬さを確認
  • 左右差を確認
  • 表層が張っているか
  • 深層が張っているか
  • 表層の場合は皮膚、浅筋膜
  • 深層の場合は脂肪組織、関節包
  • 触診しながら最終域まで伸展していき組織の張り感を確認

 

 

膝関節伸展制限に対する治療、アプローチ

 

 

評価ができればあとはそこを治療するだけですが、治療の方法によっても改善できるかできないかが左右されます。確実に改善していくために効果的な方法を解説していきます。

 

MIYOSHI

伸展制限へのアプローチはこちら。

  • 結合組織のリリース
  • 筋間の癒着、滑走不全の改善
  • ストレッチ

 

順にみていきます。

 

結合組織のリリース

 

結合組織のリリースのポイントは時間をかける事とタッチの具合です。

 

結合組織は時間をしっかりかけてあげないとリリースされません。最低でも30秒から60秒時間をかけてリリースしていきましょう。組織が緩む感覚がわかるところまで行っていきます。

 

タッチは軽く皮膚を伸ばす程度で行います。あまり強く押しすぎても痛いだけです。軽くタッチしてあげて時間をかけてあげればしっかりリリースできます。

 

筋の癒着を改善

 

筋の短縮以外に制限となる大きなポイントとなるのが筋肉が癒着していることによる滑走不全です。

 

滑走不全をどう改善していくかというと、筋肉をしっかりと動かしてあげることです。筋肉を起始から停止まで触診して、筋肉を直接掴みます。掴んだ筋を繊維に対して垂直方向に動かしてあげましょう。

 

硬くなった筋ははじめは動きにくい状態です。左右差を確認しながら左右差がなくなるまでしっかりと動かしていきましょう。

 

あとは、筋肉を直接持った状態で、筋収縮を入れることで癒着を剥がすことができます。硬くなっている部位を探して、直接掴みその筋を収縮させてみましょう。

 

 

膝蓋下脂肪体、膝蓋靱帯の硬さを改善

 

膝蓋下脂肪体、膝蓋靱帯の硬さは脛骨の動きに大きく関わってきます。ここが硬いとなかなか脛骨の動きが出てこない。

 

こちらも左右差を確認してしっかりとほぐしていきましょう。

 

パテラ周囲の組織の硬さをリリースして改善

 

後方の組織の硬さを改善しても制限が残っている方の場合。

 

パテラ周囲の組織の硬さが残存していることが多いです。変形性膝関節症と肥満もある方の場合、パテラ周囲の脂肪が硬くなっていてパテラの可動性が悪くなっていることが多いです。

 

硬くなった脂肪をリリースしてほぐしていきましょう。大抵の方は痛みを伴いますが、しっかりほぐさないと柔軟性が改善されません。

 

ストレッチの方法

 

筋の短縮、組織の硬さに対してストレッチも有効です。

 

ストレッチをする時に大事なのが時間と伸張の程度です。ストレッチにかける時間は30秒以上が基本です。僕のおすすめは、10秒を3セットに分けて合計30秒ストレッチをかける事です。これくらいストレッチをしっかりかけてあげると筋の短縮は改善しやすいです。

 

 

膝関節伸展制限に対する評価、治療 まとめ

 

  • まずは原因組織を把握
  • 原因組織の問題点を把握
  • 各組織の触診をできるようにする
  • 触診ができるように経験を積む
  • 左右差と最終域での緊張の高まりを感じ取る事がポイント
  • 膝関節伸展制限は後方組織だけでなく、前方組織によっても制限される
  • 筋の短縮だけでなく、滑走不全に対しても評価、治療しよう
  • リリースは時間が大事
  • ストレッチも時間をしっかりかけて行う

 

今回は膝関節伸展制限の評価、治療についてまとめてみました。

 

膝関節伸展制限の改善で悩んでいたい人にとっての気づきに少しでも繋がっていれば良かったと思います。これからは動画をうまく使って少しでもわかりやすく伝えていこうと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます!

 

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