関節可動域制限が生じるメカニズムをわかりやすく解説


こんにちは、三好です。

 

今回は、関節可動域制限のメカニズムについて簡単に解説していきたいと思います。

 

この記事の目標は、関節可動域制限の改善で悩んでいる方に対して、関節可動域制限がなんで起きるのか?を明らかにして、関節可動域制限を生じないようにするにはどうしていけばいいのか、関節可動域制限を改善するにはどうすればいいのかといった事を考えるヒントを与える事です。

 

この記事の内容が、関節可動域制限がどのように生じるのかを知りたい、関節可動域制限を改善するためのヒントを知りたいといった方の気づきに少しでも繋がれば嬉しいです!

 

それでは解説していきます。

 

関節可動域制限が生じるメカニズム

 

メカニズムというと、教科書や文献のように難しい内容になってわかりにくくなってしまいますので、難しい内容になりすぎないように僕なりに噛み砕いて解説していきます。

 

MIYOSHI

関節可動域制限が生じるメカニズム

  1. 不動↓
  2. 結合組織の気質的変化↓
  3. 関節拘縮↓
  4. 関節可動域制限の発生

 

関節可動域制限の主な原因となるのは、関節拘縮です。そのため、ここでは関節拘縮が生じるメカニズムをお伝えします。

 

関節拘縮は関節周囲の軟部組織が原因で生じたものです。関節可動域制限の原因となるものは、軟部組織由来のもの、筋由来のもの、骨由来のもので分類できます。この事に関してはメカニズムについて伝えてから解説します。

 

1.不動

 

関節拘縮が生じる主な原因は不動によるものです。

 

不動は身体を動かせない状態のことで、不動の要因は様々ですが、年齢や骨折やOPE後の関節固定、脳卒中発症後、病状が悪化したことによって生じます。

 

この不動状態が続くことが関節可動域制限が生じるはじめのきっかけとなります。

 

では、不動状態が続くことによってどんなことが起きてくるのか?ということを下記から解説していきます。

 

2.結合組織の気質的変化

 

結合組織は、主にコラーゲン線維、エラスチン線維でできています。

 

関節可動域制限第2版より引用

 

コラーゲン線維のイメージはこんな感じです。

不動期間が長くなるとコラーゲン線維が増加します。コラーゲン線維が増加して、結合組織が硬い状態になると関節運動をした時に結合組織が突っ張ってそれ以上曲げられない状態になります。

 

なぜ、不動によってコラーゲン線維が増加するのか?

 

不動によってコラーゲン線維が増加する理由は明らかになっていません。

 

関節拘縮に関しては多くの研究がされており、皮膚、靭帯、筋膜といった結合組織により構成される組織は不動状態に置かれる事によりコラーゲン線維の増生を認める事は明らかにされています。ただ、なぜコラーゲン線維が増生するのかといったところまで解明されていないのが現状のようです。

 

3.関節拘縮

 

上記のように、不動により関節周囲軟部組織のコラーゲン線維が増生する事によって関節拘縮が生じます。

 

4.関節可動域制限の発生

 

不動→結合組織の気質的変化→関節拘縮→関節可動域制限の発生

 

この流れが関節可動域制限を生じさせる1つの流れとなります。

 

では、ここから関節拘縮について掘り下げていきたいと思います。

 

ここから解説していく内容
  • どの程度の不動期間で関節拘縮が生じるのか
  • 関節拘縮の分類

 

どの程度の不動期間で関節拘縮が起きるのかと、関節拘縮に関わる組織、分類がある事をまだ知らないという人は下記の内容も確認してみてください。

 

 

関節可動域制限が生じる不動期間はどの程度?

 

関節可動域制限はいったいどの程度不動期間があると生じるのか簡単にみていきます。だいたいどの程度で関節拘縮が強くなるのか知っておいて意識しておくだけで治療の仕方が変わると思いますので。

 

関節の固定期間別の変化

 

 

30日程度の固定では、結合組織の増殖と癒着が起き関節拘縮が生じるけど改善は可能。60日以上の固定では関節内の強い結合組織性癒着が生じるので改善が困難になります。1ヶ月以上固定期間がある場合は拘縮予防はしっかり行いましょう!

 

真皮、皮下組織の不動期間別変化

 

関節可動域制限第2版より引用

 

 

皮膚の中でも真皮は柔軟性に富んでいて、真皮の70%がコラーゲン線維でできています。真皮、皮下組織に関しては不動期間が4週間から筋線維芽細胞の出現率が増加しているとのこと。真皮に関しても1ヶ月以上の不動となると関節拘縮に影響を及ぼしやすくなると言えます。

 

実は皮膚って関節可動域制限に結構関わるので大事です。膝関節の伸展制限だと10%が皮膚性の制限です。皮膚をリリースしてあげるだけで可動域が改善する場合も多いです。

 

関節拘縮の分類

 

関節拘縮の分類の仕方は色々ありますが、ここでは結合組織なのか、筋なのかで分類できるって事だけ知っておくと視点が変わるので紹介しておきます。

 

 

  • 結合組織性の拘縮
  • 筋線維性の拘縮

 

この2つに分けられます。

 

簡単に言うと、結合組織っていうのは主にコラーゲン線維とエラスチン線維で構成されます。結合組織で構成される軟部組織は何があるかっていうと、

 

軟部組織
  • 皮膚
  • 皮下組織
  • 靭帯
  • 関節包
  • 筋膜

 

結合組織で構成される軟部組織は上記の通りです。

 

筋膜は結合組織だけど、筋線維は結合組織ではないんです。

 

関節可動域制限第2版より引用

 

イメージはこれです。結合組織であり柔軟性に富む筋膜が筋線維を覆って保護しています。

 

ややこしい話ですが、筋肉に関して考える時は筋線維と筋膜は別で考えて筋線維由来の拘縮なのか、筋膜由来の拘縮なのかを分けて考えておくことが必要になります。

 

臨床で使えるように落とし込むと、筋短縮の問題なのか、筋膜の硬さの問題なのかを考えるということです。筋短縮の問題の場合はストレッチや等尺性収縮で筋節に対するアプローチ、筋膜の問題の場合は筋膜リリースをするというようにアプローチの選択を変えていきます。

 

うーん、難しいですがこの辺りは解剖学、生理学を勉強する事で深まってくるところです。

 

関節可動域制限と循環障害

 

関節可動域制限について考える時に押さえておきたいのが循環障害についてです。

 

循環障害は、血液が身体に回りにくくなる状態のことです。不動により循環障害が起きますが、その1つの理由として、筋収縮を行なっていないことが挙げられます。筋収縮を起こすには、糖、脂質、タンパク質といった栄養素を分解してエネルギーを発生させる事が必要になります。

 

そのために、栄養を運ぶ血液が必要になりますが筋収縮をしていない関節にとってそれは不要なものになります。血液を回す必要がなくなるのでその関節周囲の血流が減少します。このことが循環障害につながる1つの理由と考えられます。

 

また循環障害が起きると、疼痛物質を血液に乗せて流すことができなくなるので疼痛閾値が低下します。痛みを感じやすい状態になると、痛みによって筋緊張を高めてしまい更なる循環不全を起こしますし、必要のない不動の原因にもなります。

 

循環障害を改善してあげるだけでも、不動期間中に関節拘縮予防をすることができます。ホットパックなどの温熱療法による関節拘縮予防のエビデンスは高いです。

 

 

不動期間中は、なるべく温熱療法を使ったり、等尺性収縮で筋収縮をいれてあげたり、結合組織に対するリリースをしてあげたりして関節拘縮を予防してあげると良いです。
 

 

まとめ

 

今回は関節可動域制限のメカニズムから始まり、関節拘縮の主な原因となる結合組織について、関節拘縮の分類、関節拘縮の予防について簡単に解説しました。

 

内容をまとめると、

 

  • 不動→コラーゲン線維の増生→関節拘縮(軟部組織)→関節可動域制限発生
  • 不動期間は1ヶ月以上でコラーゲン線維の増生が強くなる
  • 結合組織は皮膚、靭帯、腱、関節包、筋膜
  • 筋線維は含まれない
  • 温熱療法、不動期間をなるべく減らして拘縮予防をしていく!

 

この辺りの内容は勉強して深めていくと関節可動域制限の評価、治療の仕方が変わってきます。難しいところですが知識を深めていきましょう。

 

僕の書いた記事が関節可動域制限の評価、治療に少しでも役立てるような気づきに繋がっていれば嬉しいです!

 

今回も最後まで読んで頂きありがとうございます!