こんにちは、理学療法士の三好です。今回は脛骨の回旋評価について。膝関節の評価に必須な回旋評価ですが、回旋の程度をみて一体何がわかるのか?評価する時に何を考えながらみていくと良いのか、そのポイントを紹介しますので、ぜひ臨床に生かしてみてください!
脛骨の回旋を評価すると何がわかるのか
まとめ
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- 脛骨に付着する筋の短縮、弱化
- 脛骨周囲組織の硬さ
- 大腿筋膜張筋
- 大腿二頭筋
- 縫工筋
- 薄筋
- 半腱様筋
- 半膜様筋
- 膝蓋靱帯
- 膝蓋下脂肪体
- パテラ周囲の脂肪組織
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回旋の動きを見ることでこのあたりの組織の硬さや筋の短縮、弱化の程度をチェックしていきます。
例えば、脛骨の内旋制限があった場合
内旋制限がある場合、大腿筋膜張筋、腸脛靱帯、大腿二頭筋の短縮があるか、半腱様筋、半膜様筋、鵞足の弱化がみられる事が予想されます。
脛骨の外側につく筋肉が優位に働いていて、内側につく筋肉が弱いため、脛骨を内旋する方向に引っ張れていない状態です。
マッスルインバランスの評価
脛骨に付着する筋のどこが優位に働いているかによって脛骨が回旋する方向が変わってきます。前面の筋でいうと縫工筋、薄筋あたりが優位に働いていれば、脛骨は内旋しますし、大腿筋膜張筋が働きやすければ、外旋します。後面で言えば、大腿二頭筋が優位なら外旋、半腱様筋、半膜様筋が優位なら内旋します。
そのため、脛骨の内旋可動域が低下している場合、大腿二頭筋や大腿筋膜張筋が硬くなっていて、半腱様筋、半膜様筋、縫工筋、薄筋の出力が低下していることが考えられます。
筋バランスが悪くなっている状態で、大腿二頭筋や大腿筋膜張筋の疼痛が生じたり、筋の伸張性低下による膝の伸展制限に繋がっていることもあります。
評価の方法
- 背臥位、軽度膝屈曲位で脛骨の後面に母指以外、脛骨粗面に母指を置いて脛骨を把持します。
- 脛骨をしっかり掴んだら、内旋、外旋の動きを確認します。
- 左右差をしっかり確認しましょう。患側の内旋が硬い人が結構多いです。
- 安静時の脛骨の内旋、外旋具合も見ておきましょう。
- パテラと脛骨粗面の位置関係を確認しましょう。
脛骨回旋に対する治療、アプローチ
脛骨の内旋が硬かった場合
- 脛骨の内旋を評価した方法と同じように動かしてあげる。
- 動かしていくと硬さが軽減していくので確認しながら。
- 硬さがある程度取れたら、脛骨の内旋をアシストしながら自動運動してもらう。
- 安静時の脛骨の外旋が軽減しているか確認。
- 他動運動時の脛骨の外旋の硬さを確認。
組織の硬さをリリース、筋収縮運動
- 脛骨の可動性を評価したら、関連する筋の硬さや筋出力を確認。
- 筋膜リリースをして硬さをとり制限を軽減した後に、出力の弱い方向にアシストしながら筋収縮運動。
- 脛骨の制限が生じた根本の原因を探って最終的にそれを改善することが必要になるので、根本の原因の改善も並行して行っていきましょう。
筋膜リリースの方法
【筋膜リリース】
皮膚のたるみがなくなる程度のソフトタッチでリリースを開始。
90-120秒間(長くて5分)圧を維持すると膠原要素がリリースされて組織が柔らかくなる。
弾性繊維のエラスチンが組織に本来の形態と柔軟性を取り戻させる。
組織が柔軟になるのを感じるまでリリースしよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
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