こんにちは、理学療法士の三好です!今回は、足関節の背屈制限について。背屈制限を背臥位でチェックするのが基本だと思いますが、今回は立位での評価で原因の特定とその治療につなげて行く方法を紹介します。立位での評価はあまりしていなかったという方はぜひ臨床で試してみてください!
立位での評価が良い理由
背臥位での評価だと負荷に限界がある
背臥位だと徒手的に抵抗をかけるので、十分に筋を伸張できず最終域の評価となっていない可能性があります。実際、背臥位での最終域より荷重をかけた状態での最終域の方がより大きく動かす事ができる事がよくあります。これは徒手では腓腹筋やヒラメ筋といった筋を十分に伸張できる負荷をかけられていない事が原因となっています。
立位での評価方法
両脚立位からスクワット
立位からスクワットで足関節を背屈していった時の伸張感を確認していきます。
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- 最終域でどこに伸張感を感じるか訴えを聞く
- 短縮位と伸張位での緊張の変化を触診で確認
- 最終域のROMを確認
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最終域での伸張感を聞く
患者さんにどの辺りにつっぱり感を感じるかを聞いてある程度目星をつけます。患者さんの訴えは大事。その訴えによって仮定していた部分と違ったところに原因が見つかることも多いので、訴えはよく聞いてそこのチェックは忘れないようにしましょう。
短縮位、伸張位での緊張の変化をみる
足関節中間位から背屈位にしていった時につっぱり感を感じると訴えを聞いた部分にある筋を触診し、最終域で緊張が高まるかどうかを確認します。実際に緊張が高まるのを感じたら、そこが原因となっている可能性が高いです。
最終域のROMを確認
CKCでのROMを確認しておきましょう。治療をした後にROMが拡大しているかを再評価します。これにより、そこが本当に原因となっていたかを評価できます。
背屈制限をみるときに把握しておくべき筋肉
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- 腓腹筋
- ヒラメ筋
- 長腓骨筋
- 短腓骨筋
- 第3腓骨筋
- 長母指屈筋
- 長指屈筋
- 後脛骨筋
- 前脛骨筋
- 長母指伸筋
- 長指伸筋
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ここに挙げた筋肉は足関節の制限に関与する可能性が高いので、走行の確認と触診はできるようにしておきましょう。先ほどの立位での背屈チェックで、この辺りの筋肉につっぱり感や伸張感を訴える方が多いです。後方の筋肉だけでなく、前面の筋肉をチェックするのもポイントです!
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運動療法のための機能解剖学的触診技術
原因を特定したら治療へ
筋膜リリース
その筋肉の中でも筋膜の繊維化が原因であれば筋膜リリースをしていきましょう。
【筋膜リリース】
皮膚のたるみがなくなる程度のソフトタッチでリリースを開始。
90-120秒間(長くて5分)圧を維持すると膠原要素がリリースされて組織が柔らかくなる。
弾性繊維のエラスチンが組織に本来の形態と柔軟性を取り戻させる。
組織が柔軟になるのを感じるまでリリースしよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
滑走不全を改善する
筋膜の繊維化だけでなく、筋肉の滑走不全が生じていて、ROM制限となっているケースが多いです。特に、外傷後、OPE後、不動期間が長かったケースは滑走不全が生じていることが多い。
原因筋の周囲の組織、筋間の硬さをチェックして硬いようであればリリース、筋肉をよく動かしてあげましょう。
滑走不全の改善を動画で解説
スタティックストレッチ
【ストレッチの時間】
10秒×5セットに分けて、合計50秒とすると良い
持続伸張時間が長いほど、筋組織に対する侵害刺激が増強し防御的スパズムを誘発させる
50秒を1セットより10秒×5セットと分けて伸張した方が効果が高いとの報告があり、
更に温熱療法との併用で伸張後の効果が持続しやすくなる
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月10日
おすすめは10秒を3セットに分けて合計30秒。経験上、この程度ストレッチをかけてあげれば筋をよく伸張できます。個人差はありますが。
まとめ
- 足関節に関しては、荷重をかけてROM評価するのも大事
- まずはROMに関与する筋肉を個別に触診できるようにする
- 治療は筋膜、筋繊維だけでなく滑走不全に対しても行うこと
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