こんにちは、理学療法士の三好です!今回のテーマは大殿筋の機能解剖、動作との関連についてです。
大殿筋の機能解剖について再確認して、動作とどのように結びつくのか考えることでより臨床の評価、治療アプローチを幅を広く、深くできるようにしてきましょう!
大殿筋が大事な理由
大殿筋の役割
大殿筋はヒトが進化する過程で発達したと言われ、歩行の際に股関節を伸展する事で体幹を直立位に保つことが可能となったと言われている。
大殿筋の筋力が低下すると、歩行における立脚初期に身体が前に倒れるのを避けようとする動作が見られ、これを大殿筋歩行と言います。
単一筋としては人体で最大の体積
筋力は筋肉のボリュームに比例しますので、人体で一番大きい単一筋の大殿筋は運動時に身体を支えるために大きな筋力を発揮するためとても重要です。
大殿筋の機能解剖
解剖学的特徴
大殿筋は、起始の違いによって上部線維、下部線維、浅層線維、深層線維に分かれます!
上部線維
起始:腸骨稜、上後腸骨棘、腰背腱膜、仙骨、尾骨
停止:腸脛靱帯
下部線維
起始 腸骨外面で後殿筋線の後方、仙結節靱帯、中殿筋の筋膜
停止 大腿骨殿筋粗面
支配神経 上部、下部ともに下殿神経(L4-S2)
浅層線維、深層線維
【大殿筋の浅深層繊維】
浅層繊維は腸骨稜、psis、腰背筋膜、仙骨、尾骨から腸脛靭帯に走行
深層繊維は腸骨外面、後殿筋線の後方、仙結節靭帯、中殿筋筋膜から殿筋粗面にかけて走行
浅層繊維は深層繊維に比べ筋長が長くより大きい
深層繊維はより直線に縦方向の筋繊維走行なので股関節伸展に有利
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
筋機能の特徴
- 大腿骨を固定した状態では、骨盤の後傾に作用する。
- 股関節伸展以外に、上部線維は主に外転に作用、下部線維は内転に作用
- 中殿筋が股関節における左右方向の安定化に強く関与、大殿筋は前後方向の安定化に関与。
大殿筋の作用
【大殿筋の作用】
下部繊維は、股関節伸展、大腿部を外旋。
歩行立脚初期の腰椎前弯による骨盤前傾に伴う股関節屈曲を制動。上部繊維は、股関節外転、外旋、内転。
立脚初期、中期に股関節内転に伴う骨盤の傾斜を制動。上部、下部繊維に分けて評価してみよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年6月30日
筋連結
【大殿筋の筋連結】
起始部では胸腰筋膜を介して広背筋、最長筋、多裂筋、対側の大殿筋と連結。殿筋膜を介して中殿筋と連結。
停止部では大腿二頭筋、小内転筋、大内転筋、外側広筋と連結。
腸脛靭帯を介して大腿筋膜張筋と連結。
連結する筋のチェックも忘れず。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
肢位別 筋活動
【股関節屈曲位、伸展位での大殿筋の活動】
股関節伸展位では大殿筋の伸展筋活動が高まる。
股関節屈曲90度では大殿筋の外転活動が高まる。
大殿筋は股関節伸展位で筋力を発揮するのに適した構造であり、90度屈曲位では外転運動方向に有利となる筋走行のため。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月3日
大殿筋の評価
大殿筋拘縮の評価
- 背臥位 股関節開排位
- 開排位から股関節内転
恥骨を通る垂線を検査側の膝が越えて内転できれば大殿筋拘縮なし。
股関節内旋は入れないこと。入れてしまうと梨状筋等の内旋筋に影響されやすくなる。
この検査手技は大殿筋のストレッチとしてもそのまま使えます!治療編で動画載せときます。
筋力評価
片脚ブリッジ
【片脚ブリッジ】
片脚ブリッジができるかどうか評価しよう。
片脚ブリッジは大殿筋筋力MMT3以上ないとできないと言われている
片脚立位ができればMMT3以上の筋力があると予測が立てられる
両脚ブリッジでは筋活動16%、片脚ブリッジでは61.3%
片脚にする事により大殿筋のトレーニングは十分可能。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月2日
伏臥位での股関節伸展運動
伏臥位での股関節伸展運動を行わせて大殿筋の筋力を評価します。
この時、大殿筋だけでなく、中殿筋やハムストリングス、脊柱起立筋も同時に働きますので代償動作が出ていないかチェックを忘れず。
よくある代償動作
- 骨盤前傾することで脊柱起立筋が働いている
- 股関節外転運動により中殿筋を優位に働かせている
運動をさせるときに、骨盤をやや後傾位に意識させることでより大殿筋の活動を高める事ができます。
動作との関連
【片脚立位での大殿筋】
支持側の股関節内転による骨盤傾斜を制動するために上部繊維が活動。
下部繊維は立位保持時と同程度の活動。
一側下肢の挙上で内転を制動するため上部繊維はより積極的に関与。
片脚立位保持には上部繊維の活動が大事。評価、治療で試してみよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月1日
【上肢挙上と大殿筋】
立位での上肢挙上に伴い上部繊維の活動が増大。
下部繊維は立位保持と同程度。
上肢挙上時の腰椎前弯に伴う骨盤前傾の制動に上部繊維が関与。
多裂筋と上部繊維は筋連結あり。
上肢の運動と関連付けて大殿筋の評価、治療をしてみよう。
— 三好 裕也 (@yuyampt) 2018年7月1日
大殿筋の治療
大殿筋のストレッチ
筋力トレーニング
片脚ブリッジ
両脚ブリッジ
最後に
大殿筋は人体の中で一番大きい単関節筋です。骨盤の安定、膝関節、足関節の負担を減らすためにもとても重要な筋肉になりますので、大殿筋の評価、治療を忘れず行い、硬さや筋力低下があるようであればアプローチを検討していきましょう!