理学療法

足関節の可動域制限の原因は前脛骨筋や腓腹筋だけじゃない!足関節の可動域制限の原因と改善方法まとめ!

三好 裕也

理学療法士・整体師・ピラティスインストラクター。藤沢市「Miyoshi整体サロン」代表。痛みやコリ、関節可動域改善が専門です^^ →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

こんにちは!理学療法士の三好です^^今回は足関節の可動域制限についてお話ししてきます。足関節の疾患を抱えた患者さんを担当していてなかなか可動域制限を改善することができなくて悩んでいるセラピストの方は結構多いんじゃないかと思います。

 

今回は、簡単な足関節の概要と足関節の可動域制限の原因となる部位、その原因の改善方法を紹介していきます。なかなかテキストを読んで勉強しているだけだといまいち原因がどこで、どうやって治療したらいいかわからなくないですか?

 

原因となる部位の把握とその治療の方法を知り経験を積むことで足関節の可動域制限を改善できるようになってきますので、今臨床で悩んでる方がいましたら是非チェックしてみてください。

 

 

足関節の概要

 

まずは、足関節に対する理解を深めておくことが大事ですよね。それがなんなのか?わからなければ当然評価や治療も深めることができないと思います。それでは足関節について学んでいきましょう!

 

足関節は、蝶番関節

 

足関節は蝶番関節でその中でも螺旋関節に分類されます。

 

螺旋は、ぐるぐる回る動きですね。そこまで大きく回せるわけではないですが、底屈背屈だけでなく内反外反といった動きもすることができるようになっています。

 

足関節の構成

 

構成は、脛骨、腓骨と距骨で距腿関節(足関節)を作ります。

 

この距骨と脛骨、腓骨が滑ることによって足関節の底屈、背屈の運動が行われます。

 

 

足関節の底屈可動域制限の原因

 

足関節の前方の組織だけでなく、後方の組織、内側外側の組織も原因となります。

 

前脛骨筋

 

 

 

長趾伸筋

 

 

長母指伸筋

 

 

 

脂肪体 kager's fat pad

 

 

 

 

 

踵腓靭帯

 

標準解剖学 第2版より引用

 

踵腓靭帯だけでなく、足関節周囲の前方後方、内側外側にある靭帯はチェックしておきましょう。

 

三角靱帯

 

 

筋間の癒着、滑走性低下

 

実は筋肉が短縮しているだけでなく癒着していることによって滑走性が低下して可動域域制限になっていることが多いです。

 

癒着が起きていて、滑走不全が起きていると筋肉の短縮を改善しただけでは可動域制限は改善できません。

 

 

癒着はどうやってできる?

 

[aside type="normal"]足関節周囲の組織を損傷した後やOPE後炎症がおきます。組織を修復する際に損傷した部位の周辺の組織が癒着することが多いです。これは、組織を修復する際に修復するための物質が修復しなくて良い部位もあやまって修復してしまうことによっておきます。[/aside]

 

炎症後は、組織間の癒着が起きやすいのでこの癒着をしっかりとはがしてあげるということが治療のひとつのポイントになってきます。

 

 

足関節の背屈制限の原因

 

 

僕の経験上、足関節の背屈制限に関わっている部位として多い部分を紹介していきます。

 

腓腹筋、ヒラメ筋

 

 

 

後脛骨筋

 

 

 

長趾屈筋

 

 

長母指屈筋

 

 

 

長腓骨筋、短腓骨筋

 

 

 

 

第3腓骨筋

 

 

 

脂肪体 kager's fat pad

 

 

背屈制限に関わる筋肉のほうが、底屈に関わる筋肉よりも数が多いですね。背屈制限があるからといってヒラメ筋とか腓腹筋に目が行きがちになっていないですか?結構大きい筋肉ばかりに目が行きがちだとは思うんですが、実は背屈制限の原因と関わっているのは細かい筋肉だったりします。

 

腓腹筋やひらめきの短縮だけを改善しても足関節の背屈制限の改善は完全にすることができません。そのため上記に挙げた細かい筋肉の起始や停止、走行を把握しておくことが大事です。

 

これらの筋肉がどのように走行しているのか把握できていない場合は再確認していきましょう。

 

脛腓関節の可動性低下

 

 

 

足関節の内反可動域制限の原因

 

内反制限に大きく関わってくるのは、足関節の外側にある組織になります。

 

長腓骨筋・短腓骨筋

 

 

前距腓靭帯

 

標準解剖学 第2版より引用

 

 

踵腓靭帯

 

 

脂肪体 kager's fat pad

 

 

 

足関節の可動域制限の評価の方法

 

僕の関節可動域制限の評価の仕方は基本はどの関節も同じです。

 

足関節背屈制限の評価方法

 

  1. 膝伸展位での足関節背屈、膝屈曲位での背屈を自動で行ってもらいどの程度自動運動が可能かチェック。
  2. 足関節のアライメントチェック
  3. 背屈した時の内外反の程度をチェック
  4. 触診して筋や軟部組織の硬さをチェック、左右差を確認。
  5. 他動で動かしていった時にどの組織が硬くなるか触診しながらチェック
  6. 患者さんの訴えも合わせて聞いておく

 

だいたいはこんな感じの流れで評価しています。

 

一つ一つ理由を伝えて行きますね。

 

足関節の評価は膝屈曲位と膝伸展位で分ける

 

これはだいたいの人がやっていると思いますが、ひざ関節を伸展位と屈曲位で分けてどの程度背屈できるかを見ます。なんでかっていうと、ひざ関節と足関節をまたいでついている筋肉がありますよね。そう、腓腹筋です。腓腹筋の短縮によって背屈が制限されているのか、その他のヒラメ筋や足趾の屈筋群などで制限されているのかを大まかに見るために膝関節を利用します。

 

足関節の評価はまずアライメントをチェック。

 

足関節に限らずですが、まずアライメントを見ましょう。

 

例えば、安静時のアライメントが健側と比べてやや内反している場合。おそらく内反に作用する後脛骨筋や長拇趾屈筋あたりが短縮していたり、周辺の組織と癒着している可能性が考えられます。外側の組織は伸張され弛緩しているものとも想定できます。

 

アライメントをチェックして予想を立てて、そのあとに運動してもらう、触診するといった流れでみると良いです。

 

足関節の背屈制限の評価をする際は内反、外反の程度もチェック。

 

足関節を背屈してもらうときに、内反、外反の程度を見ておくことも大事です。なんでかというと、例えば足関節を背屈していったときに、外反が強く出ていた場合。

 

色々原因は考えられますが、腓骨筋が優位に働いてしまっている。長拇趾屈筋、後脛骨筋が短縮している。とか予想が立てられます。基本的には、舟状骨と内果が近く形になるのが純粋な背屈ですので外反、内反の程度によってどの筋が短縮しているのかを予想していくと良いです。

 

足関節の可動域制限を見るときは、触診しながら硬さを確認。

 

これも足関節に限らずですが、関節を他動で動かしていって最終域に達したときにどの筋が伸張されて硬くなっているのかを見ましょう。硬くなってくる筋や組織がその制限の原因となっている可能性が高いです。このときに固くなっているのかわかりずらいときは、左右差を見るとわかりやすいです。基本的には左右差を毎回確認するクセをつけておくと良いです。

 

患者さんの訴えも合わせて聞いておこう。

 

制限の原因がある程度予想できていれば良いですが、わかりにくいことも多いです。そんなときは患者さんに直接どこが張ってくる感じがあるか聞いてみましょう。感覚がしっかりしている方であれば原因となっている部位をズバッと当ててくれる人もいます。患者さんの訴えも良く聞いて、手掛かりにしていくと良いと思います。

 

可動域制限評価のポイント

 

筋の短縮か?滑走不全か?

 

筋繊維の短縮による制限なのか、筋間や組織間の癒着による滑走不全が問題となっているのか?をみる必要があります。

 

両方とも問題となっているケースが多いですが、どちらもチェックを忘れずアプローチしておくことが大事です。癒着の評価については下の記事に書いてありますので気になったらチェックしてみてください。

 

筋間の癒着を剥がすことで可動域制限や疼痛を改善しよう。

 

筋、靭帯だけでなく脂肪体も評価

 

ROMを評価するときに筋肉や靭帯はチェックしてるけど、脂肪体のチェックを忘れていることはありませんか?

 

足関節に限ったことではないですが、脂肪体の硬さによる制限は結構な割合で起きています。特に足関節の前後にある脂肪体が距骨や踵骨の動きを不自由にしていることが多いのでチェックを忘れず!

 

脂肪体の評価法

 

  1. アキレス腱の奥を左右から掴む
  2. 硬さをチェック 左右に動かすことができるか?圧迫したときに指が入るか?
  3. 左右差はどうか?
  4. 踵骨を動かした時にその組織が壁になっていないか?
  5. アキレス腱の奥が太く、硬いようであればリリースしてあげましょう!

 

 

皮膚の伸張性の評価も忘れず!

 

皮膚の動きを確認

 

足関節を動かした時の皮膚の動きは確認していますか?

 

確認していなかった人は足関節を動かした時の皮膚の動きをみてみましょう。皮膚性の可動域制限がある場合、よく動いるところと動いていないところがあるはずです。

 

左右差を比較するとわかりやすいですよ。健側と比べてよく動いていない部分を探してみてください。

 

皮膚をつまんでみよう

 

足背の皮膚をつまんでみてください。健側はきっとつまめる余裕があります。つまめる余裕がなく、最終域まで動かしたときに張っているようであれば皮膚性の制限の可能性が高いです。

 

その場合、筋にアプローチする前にまずは皮膚に対してアプローチしていきましょう。

 

足関節可動域制限を改善するアプローチ方法

 

筋膜リリース

 

原因となる筋がある程度評価できたら、リリースをしていきましょう。

 

短縮している筋肉は、筋膜が硬くなっていることが多いです。筋膜をリリースして筋肉の柔軟性を改善してからストレッチや収縮運動をすることで治療の効果が高まります。

 

皮膚のリリース

 

 

 

圧迫マッサージ、ストリッピング

 

筋繊維に対して垂直に圧迫していきます。筋肉が緩むところまで圧迫していきましょう。

 

ストリッピングは、筋繊維に対して平行になぞるようにして行います。皮膚に摩擦が加わりますので痛みが出ない範囲で行なっていきます。

 

指の腹で行なったり、手関節の骨を使ったり、肘を使っても良いです。部位に応じて選択していきます。大きい筋肉には肘、小さい筋肉には手指がおすすめです。

 

足関節の場合は細かい筋肉が多いので、手指を使うことが多くなると思います。

 

踵骨の上にある脂肪体は固くなっていることが多いので、脂肪体をしっかりとマッサージしてほぐしていきましょう。

 

しっかりとほぐしてあげると、踵骨の動きが自由になってきます。踵骨の動きが自由になるまで丁寧にマッサージを行いましょう。

 

 

癒着を剥がす 滑走性の改善

 

筋間の癒着があると、筋肉の短縮に対するアプローチをするだけでは可動域制限が改善されないことが多いです。筋間の癒着を改善することで筋肉が単独で滑走できるようになり可動域の改善に繋がります。

 

癒着、滑走不全の治療方法

 

  1. ターゲットとなる筋肉を触診
  2. 筋肉を直接掴む
  3. 筋繊維に対して垂直に動かす
  4. しっかりと動くようになるまで継続
  5. 痛みの訴えを聞きながら行う
  6. 左右差もチェックすること

 

部位は違いますが、縫工筋を例に説明してます。

 

 

 

脂肪体(kager's fat pad)の滑動性改善

 

 

 

 

スタティックストレッチ

 

リリース、滑走性の改善ができたらストレッチをして筋の短縮を改善していきます。

 

ストレッチのコツ

 

  • 時間は10秒×3セット
  • 徐々に強くストレッチ
  • 筋の走行を知り、個別にストレッチをかけていくことが大事

 

効果のあるストレッチの方法について詳しく知りたい方はこちらをチェックしてみてください。

 

正しいストレッチの方法知ってる?本当に効果のあるストレッチ方法を理学療法士が解説します!

 

足関節の可動域制限 評価・治療 まとめ

 

  • 足関節の前後左右の組織がどう存在しているか確認
  • 筋、靭帯、脂肪体のチェックを忘れず
  • アライメントを見て、どこの組織が硬くなっているか予測を立てる
  • 踵骨、距骨の動きをしっかりと出してあげること
  • リリース、マッサージで組織をほぐす
  • ストレッチは10秒から20秒しっかりと時間をかけて合計30秒以上行う
  • 筋短縮だけでなく癒着に対してもアプローチする

 

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関節可動域改善note

 

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