縫工筋の痛みの改善方法、治療アプローチを理学療法士が解説します


こんにちは、三好(@miyoyu34)です。

僕は総合病院で理学療法士をしていますが、鵞足停止部に痛みを訴える患者さんをよく経験します。多くの人を担当してきた分、縫工筋については少し詳しいレベルにはなったと思います。

今回は縫工筋の痛みの評価、治療方法について紹介していきます。同じように縫工筋の痛みによって膝の内側に痛みを抱えた患者さんを担当しているけど、なかなか改善ができていないと入った方は参考にしていただければと思います。

先日に下記のTweetをしました。

内側型膝OAの鵞足炎

内側OAによる鵞足炎では荷重時の大腿骨の内側への移動量が大きい。

半腱様筋よりも縫工筋、薄筋は長い線維束、下腿筋膜で覆われており可動性、滑動性が少ない。

そのため大腿骨の内側偏移の際、縫工筋、薄筋にストレスがかかりやすい。

このように縫工筋の特徴や筋の走行を知っていることによって痛みを改善することにつながってきます。この記事を読んでくれた方の縫工筋の痛みを改善するためのヒントとなれば幸いです!

縫工筋の概要

縫工筋の起始、停止、作用、神経支配

縫工筋の基本
  • 起始:上前腸骨棘
  • 停止:脛骨粗面の内側
  • 作用:股関節屈曲、外旋、膝関節屈曲
  • 走行:大腿直筋と、内側広筋と隣り合っています。
  • 神経支配:大腿神経

薄筋、半腱様筋と同部位に停止し鵞足となる

 

脛骨粗面の内側に付着するのは縫工筋、薄筋、内側ハムストリングスです。縫工筋、薄筋、半腱様筋を合わせて鵞足と言います。

縫工筋の痛みの原因

みよし

痛みの原因として考えられるもの

  • 縫工筋の特徴
  • 股関節周囲筋の機能不全
  • 筋の癒着、滑走不全

縫工筋は人体の中で一番長い筋肉である

縫工筋は人体で一番長い筋肉であり、股関節と膝関節の二つの関節をまたいで繋がっている2関節筋です。

股関節屈曲の主動作筋の大腰筋がうまく機能していない場合、縫工筋で代償する必要が出てくるので、歩行距離が長くなったり、活動量が増えると痛みが出てきやすくなります。

縫工筋の作用の特徴

縫工筋は股関節屈曲、外転、外旋に作用します。

歩行動作をする際に、ニュートラルではなく股関節屈曲、外転、外旋をさせるように下肢を使う傾向があることによって、縫工筋が優位に働いている事も原因の一つとして考えられます。

股関節周囲筋の機能不全によるもの

股関節周囲筋の機能不全が原因で縫工筋に痛みが生じます。

大腰筋、殿筋群が機能していないと、縫工筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋といった2関節筋の代償が増えます。大殿筋など、筋ボリュームの大きい筋肉に比べたら耐久性に劣るので、筋に負担がかかりやすく疼痛が生じやすいです。

鵞足部での癒着の可能性

鵞足部で癒着を起こしていることによって痛みが生じていることがあります。

内側型膝OAの場合、膝関節の内側で炎症を生じます。炎症後には組織の修復過程で癒着を引き起こすことが頻繁にあり、筋肉の滑走不全から結合組織の硬化、筋収縮時の痛みにつながることがあります。

縫工筋の痛みの評価

縫工筋の痛みチェックポイント

疼痛評価
  1. いつ痛いのか?
  2. どこが痛いのか?
  3. 何をした時に痛いのか?
  4. なぜ痛いのか?
  5. どうすると痛く無くなるのか?
  6. 収縮時に痛いのか?
  7. 伸張時に痛いのか?
  8. 圧迫した時に痛いのか?

縫工筋が原因の時の痛みの特徴

縫工筋の痛みの特徴
  • 縫工筋の停止部が荷重時に痛くなる
  • 停止部に圧痛がある
  • 股関節伸展、内転、内旋時に縫工筋の走行部位に痛みがある
  • 股関節内旋時に停止部に痛みがある

こういった時に痛みが出てくることが多いです。このあたりにあてはまるようだったら、治療をしてみましょう!

縫工筋が原因だと特定する(他に問題がないか確認)

それから、本当に縫工筋が原因で痛みが出ているのか、確認する必要があります。そのためには治療が必要です。治療をして見て、改善されるようだったらその仮説は正解だったということ。改善されなければ他に原因がある可能性があるってことです。

簡単な流れの確認
  1. 痛みが出る動作をしてもらい、実際に痛みが出るか確認する
  2. 縫工筋をリリースする
  3. 縫工筋がしっかり緩んでいるか確認する
  4. 痛みが出る動作をもう一度やってもらい、痛みが改善しているか確認する

これで、痛みが改善するようであれば、縫工筋が原因となっていることを特定することができます。痛みが改善されない場合は、他に原因があるか、手技に問題があるかだと思います。

縫工筋の触診方法(縫工筋の触り方)

わかりやすい触診方法

縫工筋て、慣れないと触りにくかったりしますよね。

簡単な触診
  1. 大腿直筋の起始部をまず確認。
  2. わかりにくければ膝伸展してもらって大腿直筋の収縮を入れて特定
  3. 大腿直筋がわかっちゃえば縫工筋は内側にあります。

臥位で軽く膝を曲げた状態から膝を伸展してもらって大腿直筋の収縮を確認してから縫工筋を探すとわかりやすいです。痛みが出ている縫工筋なら硬くなっているので大腿直筋の内側に硬いものが触れるはず!

触診ができるかできないかで痛みを改善できるかできないかが決まります。

触診技術をこれから深めたい人に間違いないおすすめ本はこちらです↓

僕はこの本で触診技術を勉強して毎日実践しました。

念のため細かい説明も

縫工筋は鷲足の中の一つで一番内側に位置しています。起始は上前腸骨棘(ASIS)、停止は脛骨粗面の内側ですね。起始部から触診するときは、ASISを触診して、まずは大腿直筋を見つけます。大腿直筋は軽度膝屈曲位から伸展方向に力を入れてもらって筋収縮を確認します。

大腿直筋の位置を確認したら、そのすぐ内側に位置するのが縫工筋になります。縫工筋は単独で収縮させるのが難しいので大腿直筋を確認して位置を辿るのが一番簡単な方法かと思います。

停止部からの触診の方法としては、脛骨粗面の内側を触診します。鷲足が硬い人はここをグリッと押すと「痛い!」っとおっしゃる方が多いのであまり強く触診しすぎないように注意してくださいね!

停止部には、縫工筋の他に、薄筋、半膜様筋、半腱様筋が付いているので区別がつきにくいと思いますが、内側から縫工筋→薄筋→半膜様筋→半腱様筋の順に付いていますので区別がつけられるように境目を確認してみてください。

患者さんの訴えから判断するのもあり

区別をつけやすくするために、患者さんの訴えで判断するという方法もあります。

圧迫を加えたときに痛みが出る部位と出ない部位があります。たまに鵞足全体が痛い人もいますが。例えば、縫工筋を優位に使っていて、薄筋はあまり使っていない方の場合、縫工筋を押すと痛みが出るけど、薄筋を押しても痛みが出ません。

停止部から辿ってみる

停止部から辿っていくとよりわかりやすくなります。縫工筋は鷲足でも一番前にあります。膝の内側からASISに向けて辿っていきましょう。患者さんの痛みの訴えをヒントにしていくとわかりやすいですよ。

はじめは難しいと思いますが、触診を重ねて筋の境目を見分けられるように練習してみてください。

縫工筋は、ASISから大腿部の前を通って、脛骨粗面に向かってクロスするように走行しますので上記に貼った写真なんかを見ながら触診してみてください。

縫工筋の痛みが改善した症例紹介

ACL損傷OPE後の方

最近、前十字靭帯損傷のオペ後の患者さんを見させてもらった時に、股関節の内旋動作や、ブリッジ動作で縫工筋の停止部に痛みが出ていてうまく動作が行えない方がいらっしゃいました。

その時に停止部と、縫工筋走行に沿って軽くリリースすると痛みが改善し、動作を行いやすくすることができました。

その他にも、大腿直筋の短縮、滑走不全も見られていたので大腿直筋のリリースも合わせて行うと、膝関節の屈曲、伸展動作の改善が見られて歩行時のdouble knee actionの改善にもつなげることができました。

患者さんは『膝周りが軽くなって、歩くのが楽です!!』とおっしゃってくれました。

最終的には、縫工筋や大腿直筋で代償している動作のパターンを、体幹と連結した動作にシフトしていって代償を軽減していく必要がありますが、こんな感じで一時的に患者さんを楽にすることは可能です。

縫工筋の痛みに対する治療・アプローチ

みよし

アプローチ方法は、

  • マッサージ
  • ストレッチ
  • 股関節周囲筋の筋力強化

縫工筋の痛みを改善するためのマッサージ、ストレッチ、筋力トレーニングの方法を紹介します!

縫工筋のマッサージ方法を動画で解説!

縫工筋のマッサージの方法
  • 起始部、停止部から走行部位全てにかけてリリース。
  • 筋繊維に対して垂直に繊維をほぐすように、なでるようにマッサージ。
  • そのあと、起始部から停止部まで縫工筋自体をつまむようにしてしっかりと動かします。これも筋繊維に対して垂直方向に行います。

しっかりと走行に沿って全て動かしてあげて、縫工筋が柔らかくなって単独で動きやすくなるまで動かしてあげます。行う前と行った後で動きやすくなったかわかるくらい行いましょう。

リリースと合わせて、筋肉を単独で動かすことをやってあげると痛みも減りますし、滑走性もかなり良くなるのでぜひ試してみてください。この方法は、全ての筋肉で使えます。癒着が原因で可動域制限に影響を与えている場合、この方法で可動域制限の改善をすることができます。

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筋別に効果的なマッサージの方法を丁寧に解説してくれています。より質の高いマッサージを習得したい方におすすめ。

この本で学んで毎日実践すれば、患者さんに喜んでもらいながら効果のあるマッサージができるようになりますよ!

縫工筋の個別ストレッチの方法を動画で解説!

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筋肉を個別にストレッチする方法をわかりやすく紹介してくれています。鵞足だったら、縫工筋、薄筋、ハムストリングスを個別にストレッチする方法など。より質の高いストレッチを提供したい人におすすめ。

僕はこの本を基本として毎日臨床でのROM訓練を行なっています。

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股関節周囲筋の筋力強化エクササイズ

さて、リリース、癒着の改善ができたら股関節周囲筋を鍛えて根本の原因の一つを解消していきましょう。

中殿筋、腸腰筋、大殿筋のトレーニング

大殿筋の筋力トレーニング

まとめ

今回は、縫工筋の痛みの原因から評価方法、治療アプローチ方法について簡単に紹介しました。

縫工筋は鵞足部で他の筋と重なり合うので痛みが出やすい筋肉です。痛みを改善するのには結構苦労しますが、このようなアプローチを継続していく事で徐々に痛みが改善してきますので参考にしてみてください。

MIYOSHI

縫工筋の痛み改善まとめ

  • 縫工筋の走行を理解
  • 縫工筋の触診を確実に行えるように
  • 起始から停止までリリース
  • 線維を持ち、垂直方向に動かすことで癒着を剥がしてあげる
  • 股関節周囲筋の筋力強化

最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!

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2018年8月19日

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