頸椎症、頸髄症の理学療法【評価方法と治療戦略】


頸髄症、頸椎症の疾患を持った方は結構多いですよね?リハビリをされている方もたくさんいらっしゃると思いますので、今回は頸髄症、頸椎症の評価、治療方法について紹介していきます!

 

頸髄症とは?

 

変形性頸椎症などが原因となり、外的な頸椎圧迫によって、歩行障害や手指の巧緻運動障害、四肢抹消を中心とした感覚障害、膀胱直腸障害といった症状が生じる疾患です。

 

  • 頚椎症性脊髄症の疫学では、好発 年齢は50歳代
  • 男性が女性の 約2倍
  • 脊髄障害は脊髄中心部(上肢症状) からはじまり、徐々に後側索(下肢 の痙性麻痺)、最後に前側索(下肢の 温痛覚障害)に広がる。
  • 前側索までの症状が出現した場合や高度の脊 柱管狭窄が認められる場合は症状が進行しやすいので手術のタイミング を逸しないようにする。
  • 生命予後は、正常群と比較すると平均約9年短縮 していたとする報告がある。

 

 

頸髄症の病態

 

  • 頚椎性脊髄症の発症に静的因子として頸椎の発育性脊柱管狭窄が重要。
  • 動的因子としては、頸椎の不安定性の有無が重要。3mm以上のすべりがあると発症しやすい。
  • 高齢者では、加齢の変化に伴い、下位頸椎の可動性が低下し、上位頸椎の代償が生じる。
  • 主病変の高位がC3/4、C4/5である症例が、約80%を占めている。

 

 

頸髄症の症状

 

  • 初期症状は、両手指のしびれと歩行障害、痙性歩行や失調性歩行が多い
  • 両下肢の反射は亢進し、バビンスキー反射、足クローヌスが陽性
  • 感覚障害、膀胱直腸障害が出現

 

頸髄症の予後は、75%が外傷での悪化、20%が徐々に悪化、5%が急速な悪化で未治療で改善することはまずない。保存的治療例では、改善が21%、不変が23%、悪化が9%という報告がある。

 

頸椎カラーによる装具療法は、動的因子を阻害する目的で使用される。軽症例に対しては、短期的な有効性が報告されている。保存療法では、脊髄症状を改善することが難しいため、早期の手術を勧めるといった報告もされている。

 

頸髄症における代表的な指標

 

  • Nurick scale、 Cooper scale
  • Harsh scale
  • Neurosurgical Cervical Spine Scale(NCSS)
  • 日本整形外科学会頚髄症治療成績判定基準(JOAスコア)

 

 

頸髄症の評価ポイント!

 

  • 感覚障害
  • 筋力低下
  • 可動域制限
  • 筋緊張
  • 基本動作
  • 歩行
  • バランス機能

 

これらの項目を上記で紹介した客観的な指標を含めて評価していくことが大事になります。

 

感覚障害

 

感覚障害に関しては、深部感覚障害(運動覚、位置覚、振動覚)と表在感覚障害(触覚、圧覚、温度覚、痛覚)に分かれます。頸髄が障害されていますので、自由神経終末、マイスナー小体、筋紡錘やゴルジ腱器官からの感覚入力が脳まで伝達されにくい状況になっています。

 

伝導路を簡単に書くとこんな感じ

 

感覚受容器→神経繊維→脊髄後索→視床→大脳皮質の感覚野

意識されない深部覚に関しては、視床を経由せず、前・後脊髄小脳路を通ります。

 

感覚の評価に関しては、評価学のテキストにもあるように表在感覚と深部感覚に分けて行いましょう。大事なのは、抹消からの感覚入力がどの程度脳まで伝わっているのかということを把握することです。触覚の評価をするのであれば、外部からの刺激に対してマイスナー小体が反応して、その刺激が脊髄を通ってどの程度脳まで伝わっているのか。

 

運動覚であれば、関節の動いた方向を感じ取るのに、筋紡錘やゴルジ腱器官が筋の伸び縮みした時の刺激を受け取り、その刺激を脊髄を通って脳までしっかりと届けることができているのか。その程度はどのくらい届けることができているのか。といったことを想像しながら評価していくということが大事です。

 

筋力低下、筋緊張

 

筋力低下や筋緊張に関しては、感覚障害に伴って生じてきます。はじめは、感覚障害が起きて筋緊張のコントロールが難しくなり、痛みも加わることもあると思いますが、活動量が減少し廃用性の筋力低下を引き起こします。初期においては筋緊張のコントロールが難しくなっていることによる筋出力低下ということも考えられます。

 

発症の時期に応じて、筋力低下なのか、感覚障害に伴う筋緊張の低下によるものなのか仮定することもできますし、筋萎縮の程度や被動性検査、腱反射検査を使うことによっても判断することができます。

 

可動域制限

 

頸髄が障害されることによって、手指、上肢のしびれ、表在感覚鈍麻、深部感覚鈍麻しており、それにともなって筋緊張のコントロール困難、筋力低下が生じた結果、廃用性の筋、筋膜の線維化、筋の短縮、軟部組織の線維化が生じていることが多いです。

 

ただでさえ、感覚のフィードバックがえられにくい状態になっているのにこれらの要素が加わったらさらに正しいフィードバックが受けられなくなります。感覚障害や筋緊張のコントロール低下に対しての治療を始める前にこのような要素を軽減してあげて、正しいフィードバックが受けられるように条件を整えてあげることが大事です。

 

治療戦略!

 

流れとしてはこんな感じがいいのかなと思います。

  1. 関節可動域の改善
  2. 筋緊張コントロール
  3. 感覚障害へのアプローチ

 

今回は頸髄症に対する評価や治療に関して簡単にまとめました。治療に関しては他の記事で具体的に伝えていこうと思います。頸髄症に対する理学療法で悩んでいた方は今回紹介したポイントを確認してぜひ試してみてください^^