筋性関節可動域制限の評価、治療方法


マッサージ、ストレッチを継続していても筋肉の短縮がなかなか改善しなくて可動域制限が残っていたり、痛みがなかなか改善しなかったりすることってありますよね?

 

他動でのマッサージ、ストレッチはそのやり方によって効果がかなり変わってきます。自分ではしっかりできていると思っていても、狙っている筋肉が違ったり、マッサージの力の入れ方が弱かったり、ストレッチの仕方が悪くてしっかりと筋肉を伸張できていなかったりすることで効果が出なかったりします。

 

なかなか他動での訓練、マッサージ、ストレッチで効果が出ていない人は今回紹介する方法を使って筋肉を緩めてみてください。きっと良い結果が得られるはずです。

 

筋短縮とは何か?

 

 

筋短縮とは、筋肉が短くなっている状態です。

 

筋肉の構造は、筋膜の中にいくつもの筋繊維が入っていて、その筋繊維の中に太いフィラメント(糸状の線)と細いフィラメントがあって、太いフィラメント(ミオシンフィラメント)と細いフィラメント(アクチンフィラメント)が1セットになったものが筋節と呼ばれます。

 

 

 

ミオシンがアクチンを引っ張ることで筋肉が伸び縮みします。ミオシンがアクチンを引っ張って筋節が短くなっている状態が筋肉が短縮している状態で、筋節が長い状態が筋肉が伸びている状態です。図で行くとZ板からZ板までが筋節で1セット。

 

だから筋短縮とは、筋節が短くなっている状態と言えます。

 

 

なぜ筋短縮が起きるのか?

 

 

よく見るのは、ハムストリングスの筋短縮による膝の伸展制限、大腿直筋の短縮による膝の屈曲制限です。

  1. 膝の痛みが生じる
  2. 痛みが出ないように関節を固定して立ったり、歩いたりする。
  3. 筋の持続的な収縮(筋節が短くなった状態での収縮)
  4. 過剰に筋を使うことで炎症が起きる。
  5. 筋節の減少、アクチン、ミオシンの癒着
  6. 筋が短縮し膝が伸びなくなる、曲がらなくなる。

こういったパターンが多いと思います。

 

なぜ、癒着するのか?

 

癒着とは?

皮膚や膜などの組織が炎症によってくっついてしまうこと。

組織が損傷したりした時に、治癒する過程で誤って組織が修復された時に、くっつくべきでなかった組織と組織がくっついてしまった状態。

 

炎症とは?

有害刺激に対する生体の自然の防衛反応であり,組織の変質,充血と滲出,組織の増殖を併発する複雑な病変。ギリシア医学では,赤くはれて熱を発し,何かが燃えているようにみえたので「炎」の語が用いられた。ローマのケルススは,発赤 rubor,腫脹 tumor,発熱 calor,疼痛 dolorの4つの orを炎症の主徴とする,

 

短縮までの流れ

  1. はじめは関節や手術後の痛み
  2. その痛みが原因で筋スパズムや持続的な筋収縮が起こる
  3. 筋の炎症が生じる
  4. 炎症が原因で癒着が起こる
  5. 筋の短縮が完成する

大体はこういった流れで筋の短縮が起きると考えられます。

 

短縮筋を評価する上で合わせて見ておきたいポイント

 

短縮筋が伸びにくくなっている原因

  • 筋節が短く、少なくなっている
  • 不動によるコラーゲン組織の配列不整化
  • 筋の隣接組織に対する滑走度の低下

によって筋が硬くなっている可能性も考えられます。

 

コラーゲン繊維の配列不整化

 

OPE後で長期の固定によって起きるケースが多いです。コラーゲン繊維は長期の固定によって硬くなります。コラーゲンは多くの組織を構成するタンパク質で、筋にも筋膜にもあります。筋膜の主成分はコラーゲンと言われています。不動によりコラーゲン繊維の配列不整化が起こって筋膜の硬さが生じた結果可動域制限に繋がっていることも多いです。

 

筋の隣接組織に対する滑走度の低下

 

隣接する筋等に癒着を起こしていて筋の境目がわからなくなっていることが多いです。滑走度が低下すると筋のストレッチをしてもなかなか筋が伸張されずにストレッチの効果が得られないことが多いです。だから、可動域改善のためには筋の滑走性を評価することが大事になります。

 

 

短縮を改善する

 

さて、短縮を改善するにはどうすれば良いのか?

短縮筋は筋節が短く、少なくなっていることが考えられます。だから筋節を増やしてあげることが大事になります。

 

では、どうすれば筋節を増やすことができるのか?

 

ある研究では、持続的なストレッチをする事で筋節を増やすことができると報告しています。

 

スタティックストレッチ

 


30〜60秒かけて持続的に伸張すると効果があるとされています。実際の経験上もこのくらい時間をかける事で短縮は改善されやすいと思います。

 

僕の場合、10秒×3-5セットで分けて行なっています。続けて60秒だと結構長くて患者さんも不快に感じる事があります。10秒で分けたほうがストレッチの効果が高いという研究結果もありますし。僕の経験上もこのやり方で効果が出ています。

 

I b抑制を利用する

 

Ⅰb抑制とは何か?

 

これは、筋腱移行部にあるゴルジ腱器官の機能を利用した筋弛緩方法です。ゴルジ腱器官は、感覚センサーで筋腱移行部が伸張されると伸張された分、筋が断裂しないようにするために筋を弛緩させる働きをします。この機能を使って、筋腱移行部に伸張刺激を加えることで筋弛緩を狙います。

 

では、どうやるのか?

 

等尺性収縮をさせることです。関節を動かさずに筋を収縮させて、筋腱移行部を伸張します。そうする事でゴルジ腱器官が腱が伸張されたと受け取り、筋が弛緩します。この機能を利用する事で、徒手でマッサージ、ストレッチするよりも早く筋を緩ませることができます。

 

Ⅰa抑制も合わせて利用

 

Ⅰa抑制は、主動作筋の収縮に伴って拮抗筋が緩む働きですね。

 

短縮筋の拮抗筋は、Ia抑制の働きで弛緩していたり、出力が低下していることが多いです。だから、短縮筋の拮抗筋の収縮運動を行ってあげて、Ia抑制の働きを逆に利用して短縮筋を弛緩させるように働かせてあげるといったことが大事になります。

 

 

短縮以外の筋の硬さを評価して改善する

 

筋膜リリース、トリガーポイント療法

 


コラーゲン繊維の配列不整が生じている場合、筋膜のねじれ、歪み、硬さが生じている場合が多いです。触診して筋自体に硬さやシコリがある場合これをリリースしてあげることが必要になります。

 

これに対しては、筋膜リリース、トリガーポイント療法を行い改善していきます。

 

滑走性の改善

 

 

筋の隣接組織に対する滑走度の低下が原因で硬さを生じている場合、筋間の癒着がある場合が多いです。筋を直接把握することが難しくなっているケースが多いので、まずは筋間に手を当てて引き剥がすように動かしてあげることが必要になります。

 

ある程度、筋を把握できるようになったら筋を弛緩させた状態で筋を把握して筋繊維に対して垂直方向に他動で動かしてあげます。硬さがあるとはじめは動きにくいですが、動かしているうちに柔軟に動くようになってきます。

 

その筋が単独でしっかりと動くようになったら滑走度は改善されていると思います。筋を把握した状態で、収縮運動を行ってもらうとより滑走性を改善することができます。

 

まとめ

 

今回は筋の短縮についてと改善方法、筋短縮以外のポイントと改善方法について書きました。

  • 筋短縮は筋節の減少が原因
  • 改善方法は30秒から60秒の持続ストレッチ、Ib抑制、Ia抑制を利用する。
  • コラーゲン繊維の不整化、隣接組織の滑走度低下の評価も大事。
  • コラーゲン繊維に対しては、筋膜リリース、トリガーポイント療法。
  • 滑走度低下に対しては、癒着を剥がすことと
  • 筋を把握して、垂直方向に動かすこと
  • 把握したまま、収縮を入れること

 

以上!筋短縮、筋の硬さ改善方法のまとめでした。