理学療法

【運動療法のバリエーションを増やしたい人】ピラティスを運動療法に取り入れてみては?

三好 裕也

日本の理学療法士・ピラティスインストラクター。藤沢市の整体ピラティスサロン「Miyoshi整体サロン」を運営。YouTube登録者8万人突破! →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

ピラティスに興味ありますか?理学療法士をしていてピラティスに興味がある方はぜひ1度経験してもらいたいと思っています。なんでかというと、ピラティスはとても理学療法に応用しやすい運動になっています。ピラティスを経験することによってより質の高い運動療法を患者さんに提供することができるようになります。

 

私も今回、ピラティスを経験する機会を得たので、経験してきたことを紹介したいと思います。

 

WHAT?ピラティスとは

 

ピラティスは、ジョセフ・ピラティス氏が第一次対戦中に医療キャンプで患者がベッドに寝ながらでも回復治療ができるようにとリハビリ目的で考案された運動です。

 

 

ヨガとピラティスの違い

 

簡単に言うと、ヨガは精神的なケアに重点をおいています。ピラティスはカラダ作りに重点を置きます。ヨガは精神的にリラックスしてゆったりと運動を楽しみたい方向け、ピラティスは姿勢やスタイル改善を積極的な運動で改善していきたい人向けかなと思います。

 

 

ピラティスを学ぶことでできるようになること

 

  • 理論に基づいた呼吸法、運動指導
  • 効果的なコア作り
  • 1つの運動で多くの効果を狙ったアプローチができるようになる
  • ニュートラルポジションが理解でき、運動指導の質が上がる
  • 人の身体の特徴に合ったエクササイズの組み立てができるようになる
  • 運動療法だけで人の身体を変える事ができるようになる
  • キューイングの質の向上

 

 

呼吸を意識したアプローチ

 

ピラティスは呼吸をすることによってコアを意識してアウターをなるべく努力的に使わないようにすることで、関節一つ一つをより自由に動かすことができるようにしていくことが目的の一つとなっています。

 

この考え方は、理学療法にも必要な考え方だと思います。よく患者さんでいるのは、アウターマッスルをガチガチに固めて、努力的に運動をしようとする人。

 

アウターマッスルの過緊張によって疼痛を生じさせてしまっているパターンが多いです。その原因として、インナーマッスルがうまく働いていないことが考えられます。そのような方に対して、ピラティスの考え方を取り入れていくと良いです。

 

 

効果的にコアを作る

 

パワーハウスとも呼ばれる体幹、コアの機能改善をベッド上でできる運動指導だけで行う事ができます。ニュートラルポジションの学習を大事にしているので、ブレない体幹を作り四肢のパフォーマンスアップをする事ができるマットエクササイズを学ぶ事ができます。

 

 

1つの運動で多くの効果を狙ったアプローチが可能になる

 

例えば、臨床でSLRをしてもらっている時、狙いとしてはどんなことを想像しながら行ってもらっていますか?大腿四頭筋の筋力強化だけでしょうか?

 

一つの運動に対して狙いが一つではなく、一つの運動で多くの効果があるものを提供できた方が患者さんにとって有意義な時間となりますよね。ピラティスを学ぶことで多くの狙いを持った運動療法が提供できるようになります。

 

 

 

代償動作を見抜く力がつく

 

ニュートラルポジションを理解する事ができるようになる事でそこから逸脱した運動、代償動作を見抜く事ができるようになります。

 

ニュートラルポジションが崩れていると言うことは、より身体に負担のかかる姿勢、パフォーマンスが発揮しにくくなっている可能性が高くなります。より効率的に、質の高い運動をするためにはニュートラルポジションを保つ事が必要です。

 

より質の高い運動をしてもらうためにも代償動作を見抜く力が必要になりますが、ピラティスを学ぶ事でそれができるようになります。

 

 

人の身体の特徴に合わせたエクササイズが組めるようになる

 

人の姿勢の特徴、人の身体の使い方の特徴がつかめるようになり、その人の特徴に合わせたエクササイズが組めるようになります。

 

単純に膝OAで大腿四頭筋が弱いからとりあえずクワドセッティングを〜って考えている人は少ないと思いますが、そういったエクササイズの選択ではなく、同じ膝OAでもその人の姿勢の特徴、マッスルバランスを捉えてそれに対して一つの運動で効率的に効果を発揮できるエクササイズの選択をする事ができるようになります。

 

 

キューイングの質が上がる

 

キューイングとは人への伝え方です。

 

病院で働いていると、患者さんに実際に触れて指導をする機会が多いと思います。ピラティス等、フィットネスの分野だと言葉で指導する機会が増えます。

 

言葉だけで身体の動かし方を的確に指示していくスキルが必要になります。でもこれは医療の分野でも同じように必要なスキルです。

 

言葉だけで患者さんに身体を動かしてもらいましょう。はじめは結構難しいですよ。ピラティスではキューイングの方法についても学ぶ事ができます。

 

 

HOW TO?運動療法としてピラティスをどう使うか

 

  1. 腹式呼吸を行ってもらい、コア(体幹の深層筋)の収縮を促す。
  2. 呼吸に合わせて、過剰にアウターマッスルが働いてこない程度の低負荷な運動から始める。アウターマッスルが働いてきてしまう場合は、アシストして行ってあげても良い。
  3. インナーマッスルが働いてきたら徐々に負荷量を増やしていく。

 

 

ポイントは、アウターマッスルがはたらかない範囲の運動負荷で運動してもらうということです。判断するためのポイントとしては、各関節の代償運動が起きていないか、アウターマッスルを触診しながら運動してもらって、過剰に緊張が入っていないかどうか確認しながら見ていくといいと思います。

 

なんでかっていうと、インナーマッスルは各関節を安定させて適合性をよくした状態で関節を動かすことができるようにするための筋肉です。そのため、インナーマッスルがうまく働いていない場合、運動をする時に代償運動が起こりやすいです。

 

例えば、肩関節の外転運動を行ってもらうときに、棘上筋というインナーマッスルがうまく働かずに、アウターマッスルである僧帽筋であったり、肩甲挙筋といった筋肉が優位に働いた状態で、運動を行うと上腕骨頭の肩甲骨に対する適合性が悪い状態で運動が行われますので、純粋な肩関節の外転運動ではなく肩甲骨の挙上運動が伴った運動となってしまいます。

 

このようなことが起きないようにするためにも、インナーマッスルである棘上筋という筋肉をしっかりと働けるような状態にしておくことによって、アウターマッスルが過剰に働くことなく運動ができるようになります。

 

他動運動を行うときも無意識にその人の筋緊張が入ってくるんですが、インナーマッスルが働くようになってくると、その運動方向に対しての筋緊張がスムーズに働くようになり、他動運動を行うときも動きが軽くなった感覚が得られると思います。

 

運動に呼吸を取り入れる

 

アウターマッスルがガチガチな人がよくいますが、その原因として、呼吸がうまく行えていない、または呼吸器疾患を抱えている人は身体が硬い人が多いです。それは呼吸がうまく行えないことによってコアマッスルが機能せず、インナーマッスルよりもアウターマッスル優位に働かせて動いていることが考えられます。

 

呼吸器疾患を抱えていて、呼吸がうまく行えない方に対して無理やり呼吸訓練を行うのではなく、まずは低負荷の運動から始め、インナーマッスルがうまく機能する状態を作ってあげて、アウターマッスルを過剰に働かせる必要が少ない方向に向かわせてから、徐々にアウターマッスルを鍛える運動や呼吸訓練を取り入れていくといった流れも良いと思います。

 

 

やっぱり、呼吸って大事ですね。身体が硬い人、肩こり、腰痛がある人は、まずは呼吸から始めてみてはいかがでしょうか。理学療法士の方は、呼吸を意識したエクササイズ、低負荷の運動でインナーマッスルを意識したエクササイズを行い、まずはインナーマッスルを働かせるようにプログラムを組んでいってはどうでしょうか。

 

ピラティスを学ぶのにおすすめの書籍

 

ピラーティスアナトミィ

 

 

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日本の理学療法士・ピラティスインストラクター。藤沢市の整体ピラティスサロン「Miyoshi整体サロン」を運営。YouTube登録者8万人突破! →さらに詳しいプロフィールはこちらをクリック

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